動向

タールとニコチンが、新型コロナウイルスに効果のある抗体を作りだすことがわかった。喫煙によって体内に取り込まれたタールとニコチンが、細胞内でウィルスを除去する有効な細胞の活性化を促すとの発表を受け、東京都内のたばこ販売店では取り扱う全銘柄が品切れ状態となる事態が相次いでいる。日本たばこ産業株式会社は臨時生産体制を敷き全力で増産出荷を進める意向だ。なおこの抗体活性効果は副流煙の吸引においても認められるため、都内各所の密閉型喫煙所はたばこの煙を求める長蛇の列が、最大数時間待ちに至る状況だ。東京都はこれを受け直ちに喫煙禁止区域を全面撤廃する条例を発布、公共スペースや繁華街など密集地帯での喫煙を奨励し、日々の継続的な喫煙習慣化を都民へ呼びかけると共に、喫煙可能年齢の引き下げや学区内での喫煙講習、おいしく健康なたばこの吸い方をアピールするなど、積極的な広報活動を推し進める。各交通機関の構内、車輛内、商業施設では喫煙者の増加を見越し、効率的に多くの紫煙を循環させるべく換気を弱め、密閉された空間を確保するなどの措置をとる意向だ。

それにしても、酒類はいつ解禁になるのか…。

「そんな殺生な、一杯でもいいから、いただけませんか」
「そんなこと言われても、規則ですから、お出し出来ないんです」
「いや、だからそこを何とか…」

「ここオリンピックスタジアムの外観も、タバコの脂ですっかり黄色くなりましたね。」
「ええ、竣工から数年足らずとは思えぬ風格です、まるで重要文化財のような、見事な色合いになりましたね。」

「大っぴらに呑めて、何が楽しいものか、さあ皆さん、この地下室だけは、呑み放題の天国ですよ、盛大に楽しんで下さい」
「これからも、ずっとこのままでいいわ、貴重なお酒を、全部ここでのみ干してしまいましょうよ」

都知事、緊急事態宣言が明けたら、まず何をされますか?」
「(紫煙をくゆらせながら)…そうね、まずはお気に入りの店で一杯やるわ」