テレビで「北の国から」が、ずーっと放映されていて、別のことをしていたので画面は見てなかったのだが、それにしてもこのドラマはいつでも、まさにこういう感じだな…と、うんざりするような雰囲気が、耳に届く音声だけで、充分以上に伝わってくる。登場人物ふたりがやり取りするセリフの、テンポ、リズム、間合い、ボソボソした語り、言葉と言葉のあいだに生じるヌルヌルした感触。まるで、わたしとあなたが、部屋の電気を消して、こたつの中に潜り込んで、そのまま、えんえんと内緒話を続けているような、窮屈な姿勢のまま、じっとりと汗をかいて、相手の汗ばんだ体の重みの気配が、まるで屁の匂いのようにこたつの中で燻されるのを湿った肌で吸い込んで、そのまま身じろぎもせずに、、相手の半開きになった口から発される息の匂いを、ずーっと嗅ぎ続けているような、それが嫌でもなく楽しくもなく、ただただひたすら受け身に閉じているだけみたいな、たぶんそれをエロに突き抜けるのではなく、結局は演歌的で使い古した抒情に流れつつ体制側の支持に傾くメンタリティの情けなさみたいな、なにしろきわめて隠微で内向的でジメジメした、あーーやだ、空気悪い、重ったるい、早く外に出てサッパリ深呼吸したい!何もかも置き去りにしてとっとと遠出したい…と思わせるような世界だ。