ブルーノート・レコード

あまりちゃんと見てるわけでもなく再生していたAmazon Primeブルーノート・レコード ジャズを超えて」で、ブルーノート・レコード創設者であるアルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフはともにドイツ出身で、30年代にナチス政権下をのがれてニューヨークにやってきて、かの地でインディペンデントなレーベルを立ち上げたのだということを、はじめて知った。そうか、あれは、ある意味、異邦人による「解釈」だったのかと、虚をつかれる思いにとらわれた。でもよく考えてみれば、それはそうなのだ。ジャズという音楽がそもそも、そのような要素を多分にもっているのだと、あらためて納得する話だ。レーベル創設から間もないころ、まだ無名のセロニアス・モンクに対してアルフレッド・ライオンは幾多のレコーディングを試みアルバムをリリースするも、同レーベルにおいてついにモンクは一枚のヒット・レコードを出すこともできなかった。モンクの音楽はその後、広く深く受け入れられていくけれど、本作品に紹介される古い映像と音声に残っているモンクの演奏を聴くと、当時それが、とてつもなく無謀なチャレンジだったのだということを、ある種の迫力をもって受け止めさせられる。こんな異様な音楽をやる人間がいて、さらにそれを世間に知らしめようとする別の人間がいたということ、傍から見ればほとんど滑稽ですらあったのかもしれないそのチャレンジの果敢さ、その志の高さ。もちろん当人たちはそれが高い志だなんてみじんも思ってないに違いない。ただそれが良いものだと感じているだけだ。