レコードショップ

べつにその気もなかったのだが、なんとなくふらっと、横浜西口のユニオンに寄ってみた。いったい何年ぶりだろうか。もしかすると十年ぶりとかだろうか。たしかあのビルだと思って歩いていくと、たしかに看板が出ている。そして、ビル脇にある狭い非常階段をのぼっていくのだったと過去の記憶が示すのだが、その階段を見て、ほんとうか?と一瞬疑わしい思いになる。目立つ案内板もないし、ほんとうにこんな階段をのぼるのだったっけ?と思いながら頼りない音を立てて一段ずつのぼっていく。のぼりきった踊り場から二階の通用口へ入って、たしかに店の入口があった。そうなのか昔からこうしてこの店に来ていたのか…と不思議な思いにかられる。店内の様子も、昔ととくに変わった様子はない。従業員の女の子たちは若くて、あれは昔からいた人じゃないだろうなとは思うが、それ以外はほとんど変わってない感じだ。もちろん中古の新入荷コーナーに並んでるものは、最近ものから昔のものまでいろいろあるけど、それらはさすがに十年前とは違う様相をたたえている。とりあえず、何が目的で来ているわけでもないので、昔の作法の通りに動くしかないので、テクノ/ハウスの新入荷コーナーからざーっと見て、アナログ棚も同ジャンル区域だけざざーっと見る。とくにこれという探し物がないので、わりとおざなりな、あまり気合はいってない態度だと自分でも自覚する。それでもまあ半ば無理やり数枚を選んで、レジに持っていく。これら全部、サブスクにあるやつだろうなと思うけど、12inchは音質も物感もやはりいいのだ。それに、やっぱり自らこうして棚から探し出さなければ、あえて聴こうとは思わないだろうなあと思う、ハウス系の音源はとくにそうだ。そしてそれをぶら下げて帰宅するということの楽しさ。帰ったら聴く、それを楽しみにして帰宅する途中のわくわくした気分、おみやげを手に持っていることの高揚感、どれほど大したことのないレコードであっても、その嬉しさはかわらない。