7月の物語

渋谷ユーロスペースでギヨーム・ブラック「勇者たちの休息」(2016年)と「7月の物語」(2017年)を観る。面白かった、しかし感想を書くのがなかなか難しい。でも最新の映画に共通するような、ある感触みたいなものを感じはした。それは僕個人の勝手な思い込みかもしれないが。最新の映画に共通するものとは、リアリティと呼ばれるものへの、距離感の取り方だろうと思う。ここでのリアリティとは、映画的なリアリティ、映画っぽさというか、いかにも映画が語るのを得意とするそれらしさ、みたいなことだ。かなり普通のことを言ってる気がするけど、ただ本作の第一部「日曜日の友だち」にせよ第二部「ハンネと革命記念日」にせよ、そのようなリアルからこれみよがしに距離を取ることもできないし、だからと言って距離感ゼロなわけにもいかないし、そもそもそういうことに余計な煩わされたくないので、とにかく軽快に、それが当然のことでもあるかのように、場を置き、人を置き、出来事を置いて、それでまがりなりにも映画を進めてしまおうと、そこはシレっと行ってしまおうと、そういう態度の部分においての共通感というのは、ギヨーム・ブラックだけのものではないのかな、と。(などと言って、僕がほかにどれだけ新しい作品を観ているのかと言えばかなり心許ないわけだが…)。ただ、何というか、これだとロメールとどこが何が違うのだろうか…と思うところも、なきにしもあらずな気はするのだが、ひとまずそれは一旦置くとして第一部も第二部も面白かった。第一部でいきなりフェンシングが出てくる唐突さが、個人的にはツボだった。第二部のハンナの気分の浮き沈みというか友人らとの他愛も無い揉め事やらワチャワチャやらを、冒頭の革命記念日と最後のテロが挟んでいるという構成も。