自由

年齢を重ねれば重ねるほど、ある意味、どんどん自由になっていくというのは、たしかに正しい言葉であるだろう。これまで囚われていた様々な条件や枠が、自分の身体からぼろぼろと剥離していって、自分に課していたいたはずの制限が緩くなり、歓びや不安を喚起させる力が衰弱する。全体的に、漫然とした存在になっていく。だから自由という言葉から感じ取れる意味も変わってしまう。自由であることが、物質であることとイコールになっていく。自由とは、感情的な抑揚から離れることなのだとわかる。このままさらに自由度が増すということは、すなわち生を規定するものがますます減っていくことを意味する。自由を歓ぶこともなく、自由を恐れることもない場所へ向かって、ゆっくりと進んでいる。

本を読んでいて、この部分について受け取った自分の解釈を、過去の自分に教えてあげたいと思うことがある。しかし過去の自分がもしそれを聞いたら、なんてつまらない話だと、自らの未来に失望するだろうと思う。