三角形と四面体

檜垣立哉「食べることの哲学」でも言及されていた、レヴィ=ストロースの料理の三角形と、それを現代の料理手法に沿ってより細かく分類した玉村豊男による料理の四面体の図。ネットで調べたら出てきたわかりやすいのが以下。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/44/1/44_97/_pdf

まずレヴィ=ストロースのばっさりと単純明快な三角形の気持ちよさがすごい。檜垣立哉自身がフランス滞在時に、ヨーロッパ系、アングロサクソン系、アラブ(アジア)系における味覚や文化の違いをまざまざと痛感した(当人がひどく痛い目を見た結果、最終的な味覚の「ふるさと」をクスクスに見出すあたりの興味深さ)くだりは面白かったのだが、この三角形の一見わかるようで、しかし眺めつづけるうちに疑問符が湧き上がってくる感じが、いかにも学問っぽい。

それを程よく解消してくれる感じなのが、玉村豊男の四面体だ。大要素に油を加えたうえで、煮物、揚げ物、蒸し物というオプションを加えていて、これを見る限り、ほぼすべての料理がこの図式で説明できている感じがする。

ただ、そのうえであらためてレヴィ=ストロースの三角形には、まだ見るべき何かがある気がする。玉村的な解決ではなく、まだもう少し粘りたい、もう少し比較参照したくなる何かはある。説明不足の単純さであるがゆえの惹きつけられる何かがある。