八重洲ブックセンター

営業終了直前の八重洲ブックセンターへ久しぶりに行った。思ったよりも客は少なく、人文系の上階は閑散としていた。すでに補充してない本棚にはところどころ隙間が空いていて、建物自体も古いし、やや薄暗さを感じさせるフロアの壁や天井その他も、年月を経た老朽の感があり、八重洲ブックセンターと言えばいつもこの雰囲気ではあるけど、それに輪をかけて今日は、いつもながらのこの書店そのものだった。いわゆる昔っぽい、たとえば戦前から続いてるとか、神保町あたりの雰囲気とか、いい感じの古めかしい本屋のムード的なものと、八重洲ブックセンターの古さは違っていて、この書店の古さは、子供の頃から知っているようなある建物が、ふと見てずいぶん古びてしまっていることに気づいたときのような古さで、だからそれは歴史の厚みとか時代の何とかとかそういう話ではなくて、まるで自分が年齢を重ねたのと同じに、ただ単に古びたというだけなのだが、でもそれはそれ固有の、同時代的な味わい(というか悲哀に近い何か)を感じさせはする。