土曜日随想


昨日は、土曜日だというのに朝から、ばたばたと落ち着かず、一日中細かくやる事があってせわしない感じ。で、ああ今日はまとまった時間絵を描くのが難しそうと、午前中の早い段階で判断して、いきなりビールを飲む。で、単体ではほとんど大した事無いどうでも良い用事を片付けながら、軽くほろ酔いで、合間にiTunesをいじってる。


Bill Evans at Town Hall


久々に、Bill Evans at Town Hallなんぞを聴く。ころころした、かわいいピアノの音が気持ち良い。そしたらなぜか、昔読んだ、奥泉光の「鳥類学者のファンタジア」と言う小説を思い出した。…あれは面白かった。奥泉光の本で一番好きかも。更に大昔、「ノヴァーリスの引用」に激しく感動した事があって、この小説はすごい!とか思って、何年かたって文庫になって再読したら、なんか全然大した事ない印象であって、がっかりした記憶がある。ゆえに、奥泉作品で、僕的ベストは「鳥類学者のファンタジア」である。というか演奏する箇所がすごい陶酔的で良いっていう記憶なのだが…今仮に再読したら、またどう思うか判らんが…。


鳥類学者のファンタジア


この小説の女性主人公であるジャズピアニストが、なんか恋愛めいた展開になって、「私のこころにビルエバンスのマイフーリッシュハートが鳴った。」的な事を思う箇所があって、しかも、その曲は名盤「Waltz For Debby」の1曲目のテイクじゃなくて、「Town Hall」の方のヤツだ。っていうのがあって、おいおいテイク指定かよ細けーよ!?みたいな感じで少し笑えたのだが。


そういえば丸尾末広も、作品の始まりに「この作品にふさわしいBGM」とかいって、曲を指定してくるという一面があった。荒木飛呂彦ジョジョとかではあったかな?ジョジョでの「洋楽(グループ名やら曲名やら)参照」度は、良くも悪くも「こんなセンスの良いものをオレは聴いてるぜ」という、普通の人がデフォルトで所有してるはずの自己顕示欲が完全に欠けていて、もはや実も蓋もない只思いついただけ。みたいな適当な「引用」をしていて、あれはあれで勘弁してよひどいな。。と思った記憶がある。ああいう平等無責任主義は如何なものだろう?と、今でも思うが、まあ如何にもジョジョ的な感じではある。


ところで、ポップアートなんて呼ばれる類の美術作品っていうのは、世間一般でどう解釈・把握・鑑賞・消費されてるんだかは置いて、まあ作品全体のうちで、ある一部分を、自分自身じゃない別の参照先の面白みに委ねますよ。みたいな、コンテンツだけはくれよ!みたいな。そういう図々しさがあるよなー?などと思う。そういう意味ではWWWというシステムが生まれ、ポピュラーなものになっていくその瞬間に、関わっている人の中に秘められていた、なんか共通の思いがあったとして、そしたらそれが結構近いのかもしれない。(システム的にオレのコンテンツはリンク先の誰かのコンテンツと、ぶっちゃけ見分けがつかねーだろ。これでいいのだみたいな。)ウェブとか、ポップっていうのはそもそも、あれはやはり、超原始共産制っちゅーか、超・左翼主義的衝動に基づいた何かであった。というところはあるのだろうか。