2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「青空娘」

[rakuten:cinema:10073670:image] ここで試されているのは、とにかくどれだけ色んなものを振り切って走る事ができるのか?という事なのだと思った。屈託も感情もべたつきも絶対に生じないような徹底的なスピードを第一優先とした場合、登場人物というのはす…

「楽日」

DVDにて観る。ほとんど客のいない映画館を舞台にして、びっくりするほどの長回しが延々続く。映写機の音とか、人が動く音とか、そういうのだけで、動きらしいものも声もほとんどない。映画の音や声だけがうつろに鳴り続けている。しかし、とにかく起こる…

公衆電話

増村保造の「青空娘」。ものすごく面白い。また後日色々書くが、取り急ぎ面白かったという事だけ。 高校時代の先生が若尾文子に電話するところで、沢山の公衆電話に人々が群がってるシーンがあったが、やけに懐かしかった。「青空娘」は1957年の映画だが…

「稲妻」

これは今まで観た成瀬の中でもかなり素晴らしい一本だと思った。ある作家の仕事にはまって連続して体験するのは楽しい事だが、一時の熱狂がやや醒めてきて「とりあえず手に取れる範囲の主要作品はあらかた観てしまったし初体験としては一巡したなあ」などと…

「卍」

薄暗くて全容のよくわからない空間で、如何にもな感じのおっさんの前で、岸田今日子が起こったこと全てを告白する。という回想形式で映画が進む。暗い空間の中に岸田の着ている着物の柄とか髪の色が浮かび上がっており重厚な感じが充溢している。 まず岸田今…

「LIFE-fluid,invisible,inaudible....」坂本龍一+高谷史郎

新宿ICCにて表題のインスタレーションを観た。(Website)これはとても素晴らしい、と云うしかないだろう。…会場に入って暗幕の向こうに展開している空間を見て、思わずはっとするようなキレイさだ。 水らしき液体の張られた四角い底の浅い水槽が3×3でグ…

「8月の濡れた砂」

うわーこれはキツイなぁと思いつつ、それでも何となくそれなりに面白がって最後まで観た。面白さがほぼ、当時の風景や風俗の感じとかあとはクルマとかそのへんくらいでしかないが。…ヨットで海に出てからのとかは結構いい感じだけど、しかし公開されたのが1…

「ネオリベラリズムの精神分析」樫村愛子

「強さ」とは「強さ」それ自体でしかない。人間が、強く生きている。というときの強さとは、単に物体が落下しているとか、車が最高速度で走っているとか、そういう事と同等の状態の説明でしかない。人間が「モノを考える」という事と「強く生きる」事とは、…

「女の中にいる他人」

自分の場合、映画鑑賞でも何でもそういう嗜好傾向があるのだと思うが、ある区切られた枠の中で整然と秩序付けられた事象の事の成り行きを見晴らしの良いところから好きなだけ観察するのが好きなのだと思う。なので、こういう家庭の有様を見続けるというのは…

「二十四の瞳」

この私の可愛い教え子が殺されていく。私の子供たちが奪われて消し去られてしまう。この私のありったけの、どこまでも惜しみなく降り注いだ筈の思いが、愛情が、全て濁った泥水の底に打ち捨てられていく。その悲しみと怒りを誰がわかるだろうか。これほどの…

「清作の妻」

1965年増村保造作品をDVDにて。個人的には日露戦争前夜の日本の寒村とそこに生活する貧しい村民がモチーフというだけで興味深い。(製作された60年代というと、もう時代としては比較的新しいというか、やや現代に近い印象があるが、それでも60年代…

賭ける意志

何かをある手段によってあらわしたい、と思って、それを実行に移した。で、出来上がったものを観て、それがとてもつまらないと感じたとする。そのとき「つまらなさ」というのは、まず失望感とか徒労感とか自分が受取れる筈だった成果の大幅な下方修正を強い…

昔のおじさんと今のおじさん

総理大臣が辞任を表明したというニュースを聞いて、なんとなく思ったのは、やはり今より昔の人の方が全然タフだったのだろうなあという事だ。…すごくズレた素人の感想として勝手に思った事を書くとすれば、あの辞任の表明した総理大臣は、今、もうボロボロの…

「くちづけ」

増村保造の「くちづけ」をDVDにて鑑賞。増村作品の鑑賞ははじめてです。冒頭からすごいスピードで物語が展開していくので、そのスピード感だけで気持ちが良い感じ。野添ひとみと川口浩は知り合って数秒後には隣り合って体を密着させつつバスに同乗してい…

「ピアニストを笑え!」山下洋輔

ピアニストを笑え! (新潮文庫 や 12-1)作者: 山下洋輔出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1980/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (9件) を見る この前実家に帰ったとき、(置き場所もないのだからよせばいいのに)久々に読みたいなと…

大西順子トリオ1st Show(ブルーノート東京)

大西順子トリオの演奏を聴きに青山へ。…大西順子は僕が大学に入って少しした頃、1993年にデビューアルバム「Wow」の一曲目「The Jungular」でどやしつけるかのような中低域のどーんというピアノのものすごい迫力とともに登場したのだ。大西順子が取り上…

台風一過

午後もやや風が強いが、概ね平常に戻ったようだ。仕事をしていてふと気付くと、夕焼けで外が染まっていたので携帯で撮影。 「上手い絵」というのは、その絵の内部で自らを律するためのルールに基づいて極めて正確に根気よく秩序付けられ、はじめに決めた事を…

「叫」

DVDにて観る。映画館でも観てるから二度目。一度目の鑑賞は3月頃だった。…思えばあの頃、個人的に体調を崩していた時期なのにまあ大丈夫だろうと無理して映画館に出かけたのだが、内容のあまりの壮絶さにぐったりして、出掛けた事をやや後悔してしまった…

温泉宿

温泉街というところは、田舎なのに繁華街。という不思議な二重性の場所であるから、人が日常を離れて仮初めの時間を過ごす舞台としては好都合な訳で、それこそ、その昔はしょっちゅう映画など物語の舞台にもなったのだろう。「旅の風情」とか「懐かしい町並…

「女の園」

高峰秀子を見たかったし他にもキレイどころが出ているし、という実に単純な理由で木下恵介の「女の園」をDVDで観た。結論から云うとイマイチであった。高峰秀子演じる女子学生は学校や家との軋轢や自分に苦悩しつつ恋人との純愛を貫徹しようとして精神的…

「犬猫」

CSにて観る。数年前DVDになったときも観てるからこれで二回目か。映画の途中、何度か二人が並ぶシーンがあって、ベランダで爪を切るときとか、白いワンピースを榎本にプレゼントするシーンとか、そういうのである親密さとかが描かれて、それらひとつひ…

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」

表題の映画をCSチャンネルにて見る。ただし全体(3時間50分弱)のうち途中2時間ほど過ぎたところから見始めた。労働組合のリーダーが脅迫されるあたりから。 この映画をはじめて観たのは中学2年くらいのときで、ロードショウ公開されたときはたしか新宿…