2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

満月。しかし横浜駅のプラットホームから見上げた月は、建物のすぐ上のところに、まるで屋上に備え付けられた照明器具のように光っていて、しかもずいぶんポンボケ気味だった。ただこの時間ならば、電車に乗ろうとするこの位置から月が見えるのだなと、そち…

僕と妻は、年齢で一歳しか違わないので、ほぼ同年代と言えるはずだけど、僕はともかく妻はそのことをどう思っているのか、たまに不思議に思うことがある。 たとえば昔話をしているとき、あの頃僕はまだ中学生だったと、言ったとする。すると妻は、だったら私…

会社にはいつも弁当持参だが、今日は箸を忘れたので、食堂フロアに備え付けの箸を借りた。そうしたらその箸が、長さも太さもかなりしっかりとしたもので、いつもの弁当に対して、こんな風に箸の形状が違うだけのことで、食事一回の印象もずいぶん変わるもの…

イエスは、1969年のファーストアルバムに2つのカバー曲を収録していて、ひとつがビートルズの"Every Little Thing"で、これは今聴くとやや大げさな解釈に感じられるのだけど、はじめて聴いたときは、うわーすごいと感動したものだ。で、もうひとつがバーズの…

DVDで小津安二郎「麦秋」(1951年)を観る。もう何度も観たし、しばらく観なくていいと思っていたのだが、再生を始めるともう画面から目が離せなくなってしまう。わかっているつもりでも、結局は驚かされる。 原節子や笠智衆の住む家の家族構成や関係者の相関…

「沓掛時次郎 遊侠一匹」(1966年)を観ようと思ったきっかけは、小林信彦の「おかしな男 渥美清」を読んでいたから。この本はずいぶん前からゆっくり(主にトイレで)読み進んでいるのだが、そろそろ佳境というか、すでに映画「男はつらいよ」人気の高まりが揺…

Amazon Primeで、加藤泰「瞼の母」(1962年)を観る。全編セットでの撮影っぽく見えるけど、金町松戸あたりを舞台に、物語がはじまる。渡し舟の船着き場にある茶屋の場面とか、絵として決まりきっていてとても素晴らしい。これほどまでにバッチリと決まった画…

Amazon Primeで、加藤泰「沓掛時次郎 遊侠一匹」(1966年)を観る。時代劇も任侠映画もあまり観たことがないのだが、これは面白かった。周囲をぎろりと見回し、刀の柄にペッと唾を吐きつつ、四方から迫りくる多数大勢を次々と斬り倒していく"殺陣"のシーンは、…

江戸末期から明治にかけてはテロばっかり起きていて、目立つ活動する人物なら生命の危険は当たり前みたいなものだったけど、現在の社会ではそのようなことがほぼない。去年あたりに事件は起きたけど、おおむねそういうケースは稀だ。 仮定の想像を巡らせると…

あまりよく知らないけど、詐欺の「受け子」「出し子」は、もっとも危険な役割を担ってる犯罪組織の下っ端ということだろう。彼らはいわば使い捨ての駒で、犯罪組織は彼らをトカゲのしっぽのように扱うことで自らの安全を確保してるのだろう。下っ端の彼らも…

「エスカレーターに乗りながらのおタバコはお止めください」と、数十秒間隔でエスカレーターが繰り返し喋っている。最近はもはや外を歩きタバコをする人さえ稀なのだから、エスカレーターだけ単独で、いまだにそんな言葉を繰り返さなくても良いのでは?と思…

早い時間に妻が眠ってしまった。リビングのエアコンの冷気は寝室へと流れている。隣合った部屋の明るさと暗さが、開いたドアの境目で混ざり合っている。しばらくしてから部屋の照明を消して、自分も寝室へ移動する。 男子百メートル予選と、準決勝と、決勝の…

最近出たコルトレーンとエリック・ドルフィーの1961年の未発表音源は、まだ1曲目の"My Favorite Things"しか聴いてないのだが、これって本当に61年なの?63年くらいでは?という感じがする。それは"My Favorite Things"の61年の録音自体がめずらしいからかも…

Amazon Primeで高橋洋「霊的ボリシェヴィキ」(2018年)を観る。観終わって戸惑う。これはなかなか難しい…と思う。霊的体験といういわば、どこまでも個人的でどこまでも主観的なものであるはずの、そういうものとボリシェビキという組織立った政治思想活動が、…

化学調味料の味が嫌いではない。ものにもよるけど。たとえばカップ麺や袋麺のスープはどれも大体苦手。めんつゆも市販ドレッシングも(無添加もそうだから化学調味料の問題だけではないが)。しかし即席みそ汁とか、鰹味の顆粒出汁は、よく出来てるな、完成形…

電動ノコギリを買った。なぜかというと「あれらを捨てるぞ!」の思いからだ。まずは、リサイクルショップとか、ネットオークションとか、そういうので他人に売ることを考えたのだけど、売れるかどうかわからないし、どちらにせよその手間が面倒くさくて、そ…

今週は朝夕の通勤客が少ない。それはわかっているので、いざ電車に乗って、思ったよりも人いるな、と思うと、やや物足りなさをおぼえる。なぜもっと閑散としてないのか、なぜもっと非日常的な空間になってないのかと、物足りなさをおぼえる。休むならもっと…

このブログは2006年から始まっているので、それ以来の出来事やそれに付随する個人的なあれこれなら、いろいろ書いてあったり書いてなかったりするのだけど、いずれにせよ2006年以降に流れた時間は、多かれ少なかれ、書く対象として自分に省みられ、その素材…

若林奮にしろカサヴェテスにしろ、頭おかしいな、こんなワケのわからん人たちも生きているのが世の中なのだなと、今さらのように思う。(どちらも故人だが。) 若林奮「森のはずれ」は、三十年ぶりに再制作されたものである。展覧会場では、おそらく何日にも渡…

下高井戸シネマで、ジョン・カサヴェテス「ハズバンズ」(1970年)を観た。おどろき、あきれた。とはいえ、たしかにこれぞカサヴェテスなのだった。カサヴェテスの作品をおそらく十年ぶりくらいに見た。 ウィキペディアで本作のストーリーを見ると、こう書かれ…

武蔵野美術大学 美術館・図書館で「若林奮 森のはずれ」へ。会期ぎりぎりに何とか駆け込んだ。 若林奮の作品はうつくしい。でもそれは、作品がうつくしいというより、素材がうつくしいのだと思う。ただし素材のうつくしさが若林奮の作品の在りように対して必…

脚本・監修:高橋洋「女の決闘」(2023年)を観る。 https://www.youtube.com/watch?v=kYUSO6Wy3fc 冒頭で、これはまさか三人が三人とも、お互いの姿を見えてないのか、それぞれ別個にひとつの空間を重なり合って共有している状況なのかと思うも、別にそうでは…

約十年ぶりに三人の古い友人らと会う。店は池袋ということで、僕が横浜を出たのは夜六時を過ぎていたので、おそらく一番遅れての現地到着になるだろう。 五十歳を過ぎたら、十年ぶりなんてさほど長い時間に思われない。そんな前だった?とか言うに決まってる…

蝉の死骸を見ると、機械の部品あるいは残骸を思い起こす。あるいは紙細工か何らかの仕事を思い起こす。いずれにせよ非・生物を感じる。とはいえ何らかの仕組みではあり、何らかの持続性ではあるのだから、それを生物だと思わないわけではないが、それが生物…

Amazon Primeでマイク・ミルズ「カモン カモン」(2021年)を観る。独身男性があるのっぴきならない理由で、子供(甥っ子)の慣れないお守り役をやる話なんて、これまで様々なジャンルで無数に作られてきただろうと思うが、この映画がそのようなありふれた風では…

Amazon Primeでロマン・ポランスキー「チャイナ・タウン」(1974年)を観る。フィルム・ノワールという言葉にふさわしく、ちりばめられたエピソードがきれいに連動していき、考え抜かれた緻密な設計図構築の技を見るかのようだ。その緊張感と仄めかされてしだ…

Amazon Primeでスティーヴン・スピルバーグ「フェイブルマンズ」(2022年)を観る。スピルバーグ作品を観るのは「リンカーン」(2012年)以来だ。暗い室内に窓から入り込んでくる青白い光を、久々にみた。 「衝突」は一度だけの不可逆的な事件で、映画とは一度き…

シウマイ弁当を、おそらく生まれて初めて食べた。シウマイ弁当については以前にも書いたことがあるけど、恥ずかしげもなく堂々と商品名を間違えているのが、我ながらやや困ったものだ。(https://ryo-ta.hatenadiary.com/entry/2019/06/19/000000) 食後の感想…

満月がきれいだから外を見てみれば、と妻に言われて、うんうんと生返事してそのまま忘れていて、やがて夜も更けてそろそろ寝ようと思って寝室に行くとなぜかカーテンが開いたままになっていて、外には月が煌々と光っていて、おお、満月だ。とても明るい、ほ…

テレビをつけたら、映画「エクソシスト」が放送してて、場面はちょうどクライマックスの悪魔に憑依された少女と神父らの対決シーンだった。 こういった悪魔祓い=祈りの行為がそのまま敵との攻防として表現されるというのは、その後にたくさん作られたことだ…