2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧
公園に行く事自体、昔では考えられないようなことだったと橋東は言う。だって、公園でいったい、何をするのか?何の目的もなく、何か見るべきものがあるわけでもない、ただの公園に行って、なにもせず、ただ時間をすごす。そこにいったい、何の意味があるの…
昨日、ギャラリー川船で観た「末松正樹 未発表小品展」。紙に鉛筆、ペン、インク、水彩などの仕事ばかり数十点並んでいて、小品だったら大体こんな感じだろうと予想していたよりも、実際には全然素晴らしいものだった。 今日は先週買った高橋悠治「カフカ/夜…
ドアを開けると暗闇である。前方のスクリーンに映画が投射されている。座席はかなり人で埋まっていて、前の方に団体で座ってる外国人たち何十人かが、なぜかすごく怒っていて、シーンが切り替わるごとに、ほとんど全員、怒って叫んだり何かを叩いたりしてや…
昨日も今日も酷く酔っており申し訳ございません。また明日。おやすみなさいませ。
電車が駅に着いた。ドアが開いて、出口の階段の方向へ歩く。 覚悟を決めてここへやってきたのだ。その期待と不安に私の胸が高鳴っている。 気持ちを落ち着けて、平静を装って、人の後について、人と同じ足取りで階段を上る。改札口を抜けて案内板を見る。埃…
さっき同じように、またこの道を歩いている。家に、忘れ物を取りに戻って、もう一度出てきたのだ。こういうときって、忘れ物をしなかったもう一人の自分がニ、三分先を歩いているような気がしないか?空気の乾燥した、真っ白に漂白されたような空気の中を歩…
昨日は青梅に行った。曇天の日。山々に白くうつくしい霧がかかっていた。アートプログラム青梅という展覧会。青梅市立美術館の二階展示場に入ると右手すぐの壁に古谷利裕さんの作品が並んでいて、並んでいる作品群から静謐な緊張感をただちにかんじた。 絵画…
今日は、身体のために、きちがい水を飲まないことにしたのだ。たまには、そういう日があってもいいだろうと、妻もしきりに云うのである。私もそれは、おぉそうだそうだと、何度も首を上したに振ったのだった。きちがい水を飲まないで床についても、ほんとう…
隙間から少しだけ外が見えた。下は川だ。電車は今、鉄橋を渡っているのだ。そのとき電車がやや急に停止して、乗客のほとんどが前方へ押し出されそうになり、掴まるもののない幾人かは前方にいる人の背中めがけて倒れ掛かり、手摺りに掴まっている人も咄嗟に…
満員電車で次の駅から乗ってきた人に圧されて、車内なかほどまで一気に押されて、車両の連結部の方まで流されてしまって、奥まったところの手摺りに掴まってそこにじっとしたまま、ふと明るい方向に目をやると、前にいる人と人の隙間から、少しだけ窓の外の…
しかし、あれから十年が過ぎたとは驚きだ。今日、ついに五十歳になった。あっという間だったな。この十年、何をしてきたのか。何もない。まったく何も変化なしである。自分が五十歳だという実感はまるでない。いや、あるにはある。五十歳の誕生日を迎えたの…
絵を描くというのはまず何よりも、その描くという行為の結果が自分にとってすごく新鮮でリアルな感触として跳ね返ってくるようなものでなくてはいけない。いけない事はないかもしれないけど、少なくともそうでないと楽しくない。 絵を描くことがつまらなくな…
久しぶりの雨のような気がする。今はもうやんだかもしれない。明日は降るのかどうか。天気予報では午前中のみとの予測みたいだ。まあ降っても晴れても曇りでもかまわないや。雨なら久しぶりに雨をじっくりと見たいな。雨の降っていることをあらわす縦線が画…
まだ学生の頃に橋東が付き合ってた彼女は、僕も何度か会ったことはあるが、もう顔は忘れたし、名前もおぼえてない。ぼやっとした雰囲気だけおぼえている。それほど美人ではなかったと思うが、悪くもなかった。橋東が付き合ったのもわかる。すごい痩せていて…
橋東の乗っていた車は、紺色の古いマーチのマニュアル車で、その車の助手席に乗ると、運転席にいる橋東と、橋東の身体を支えているシートと、橋東が握っているハンドルと、左手の下にあるチャチなパイプ椅子の足一本みたいなシフトギアと、足元に玩具みたい…
ガリガリの痩身なのに、体脂肪率が60%の人間とかって、実在するだろうか。つまり、全身が、中トロみたいな肉質である。それは市場で高値で取引されてもおかしくないような、巨大な出刃包丁で切っても、血すら出ないような。脂肪を吹いた、ピンク色の断面が、…
おとといはでかけた。昨日もでかけた。今日は家に居た。私はいまいったい何をやっているのか? 深沢七郎の「笛吹川」読了。まさに、引きずり回されたという感じ。これはほんとうにすさまじいな。いったい、どういうわけで、このようなものが出来上がってしま…
駅から水原団地行きのバスに乗る。車内は空いていた。最初は街の中を走っていたが、次第に建物が減って、やがて何もない田畑ばかりの景色になった。それから次第に、急にとってつけたように住宅地っぽい雰囲気になった。そのまま終点の、水原団地のバス停に…
小さなスーパーマーケットや、自転車置き場や、公園や、いくつかの商店が並ぶ区画の先は、住宅地が立ち並ぶ区画で、その先をさらに歩くとまた風景が変わって、畑と雑木林ばかりの、何十年も昔から何度となく舗装を重ねられてでこぼこした細い道が続く。畑と…
カップ一杯の石膏を水で溶いて、そこに手早くジンクホワイトとジェル・メデイウムを加えてよくかき混ぜる。ボウルに半分ほどの量の、とろみのある真っ白な液体が固まらないよう常に攪拌しながら、床に置いた30センチ×45センチのシナベニヤ板の上に持ってきて…
石膏を水で溶き、それにジェッソの白とモデリングペーストを加えてよく混ぜ、乾かないうちにシナベニヤの表面に薄く延ばして満遍なく塗布する。石膏を加える理由は、キメ細かく硬質な表面を得たいため。とくに変な欲を出さず、大人しく何も考えずに塗布する…
杉村春子が、こんなことを言って、怒らないでね。と前置きしつつ、私はもしあなたのような人が息子の嫁に来てくれたら、どんなに良いかと思っていたのよ。と口にする。それを聞いた原節子は、おばさん、私のこと、そんな風に思っていてくれたの?と、聞き返…
気候は曇りだが、さらっと乾いた空気が快適で、本当に過ごしやすい季節になった。風邪の調子はまあまあ。食欲もあるし、お通じも快調。風邪であることさえ度外視すれば健康そのもの。午前中は読書。午後も引き続き読書、と思ってたらついうっかりそのまま寝…