社会人

日本映画専門チャンネルで、豊島圭介「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」(2020年)を観る。 騒然とした場内を前にしても、怯む素振りなどまったく見せないが、余裕を見せたり斜に構えるところもまったくない、只真剣な表情で前方一点を見たまま、マウン…

参る

晴天だというのに、水元公園はかなり人が少なかった。おそらく駐車場が閉鎖されているからだろう。そのわりにはけっこう人が多かったと言うべきかもしれない。 お前の祖父がいるのだから、お前も靖国神社に参ったらどうかと、亡父から言われたことがある。生…

テレビで「北の国から」が、ずーっと放映されていて、別のことをしていたので画面は見てなかったのだが、それにしてもこのドラマはいつでも、まさにこういう感じだな…と、うんざりするような雰囲気が、耳に届く音声だけで、充分以上に伝わってくる。登場人物…

恥部

地下一階まで階段を降りると、すぐ鉄の扉があった。取っ手は下がった状態になっていた。手に持って、そのまま引くと、扉が開いて、まるで奥行きのない、いびつなかたちをした狭い空間があらわれた。右手には掃除用具やバケツがまとめて置いてあり、左手には…

濁った水

東京拘置所の敷地を取り囲むように堀があって、その水は、ほとんど流れてないように見える。かなり濁っていて、水底はまったく見えない。排水で汚れているというよりは、流れが遅いので濁っているのだと思う。生き物は少なくない。堀に沿って歩いていると、…

房総

千葉県の海の近くに、旅行に行きたい、そんな気がしている。まったく具体的な旅行プランにならずに、いつまでもぼんやりとそう思ってだけのことだが、機会があれば一度、適当に電車に乗って、なんでもないような鄙びた港町のあたりを訪れたい。というか、単…

天気雨

これ以上ないほどの晴天で、木々の緑や空の青が、光と一体になって輝きながら風にそよいでいて、物とそうではないものとの境目がほとんど曖昧になってる。公園に寝そべり、並んで座り、子供たちと遊ぶすべての人々が、そんな光の下で、思い思いに自分らのこ…

大陸

小林秀雄「杭州」「杭州より南京」「満州の印象」と続けて読んでいた。 小林秀雄を読むとき、いつも書かれた年代を確認して、著者の年齢を確認する。毎回、それをする。小林秀雄は1902年生まれだ。さすがにおぼえてしまった。戦前と戦後で、四十代が分割され…

アルコール

図書館までの道を歩いていて、かりに、ふいに僕らが、今どの店に入ったとしても、どの店であろうがビールを注文できないというのは、これはすごいことだな・・と思う。 大江健三郎の小説と村上春樹の小説とで、とくに初期~中期の作品に共通する特徴だと思う…

ザ・ダーティー・マック

ザ・ダーティー・マックhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AF The Dirty Mac「Yer Blues」https://www.youtube.com/watch?v=JeFwaWFTGYU 1968年のジョン・…

Catfish Blues

ふだんはジミ・ヘンドリックスのことなど忘れていても、突如として、その音楽が頭の中に降りかかってくるというか、襲いかかってくることがある。歩いていたら、ふいに1967年オリンピア劇場での「Catfish Blues」が頭の中に降りてきた。これまで何度となく聴…

昔は、まだ若い娘のときに、女中とか子守としてある家に雇われて、住み込みで働いて、その後結婚したり子供が生まれたりしても、女はひきつづきその家で女中仕事をしながら、雇い主から母屋の脇に住まいをあてがってもらって、夫や子供も一緒に雇い主の敷地…

やる

山下トリオの「Clay」(1974)が、再生された。この15分間を、何度かわからないが、これまでの何十年かのあいだに、くりかえし再生した。これがはじまると、はじまったと思う。やりはじめたと思う。やりはじめて、やりおわるまでが、びっしりと、みっしりと詰…

空爆

ビルの八階にいた。天気の良い日で気温も高く、いつのまにか誰かが窓際に行って窓を開けたようで、ほどなくして気持ちの良い風がゆっくりとこちらにまで届きはじめた。作業の手を休めて窓際の開いてる窓をのぞいて、ちょっとのけぞった。窓は端の支点から内…

1917

Amazon Primeでサム・メンデス「1917 命をかけた伝令」(2019年)を、冒頭30分くらいまで観た。続きはまた後日。主人公たちに、カメラがひたすら付いていく。ワンカット風の撮影がどうとかよりも、一見してとても「ゲーム」っぽい、という印象を受ける。自分が…

公的

さりげなく巧妙にこちらを支配しようとする、こちらの内面から統治をもくろむような、そういう言葉には注意しろと、保坂和志はことあるごとにそういう話をする。心地よくて納得できる、一見もっともらしい、場合によっては感動させる、しかし内実は脅迫であ…

良い音

4/18に配信された保坂和志「小説的思考塾Vol.3」を聴講(先週急用で観れなかったのでアーカイブで)。 蓄音機の音の良さ、というものがある。SP版に刻まれた音源を蓄音機で再生したときの、まるでそこに演奏者がいるかのような臨場感を一度でも体験すれば、そ…

動向

タールとニコチンが、新型コロナウイルスに効果のある抗体を作りだすことがわかった。喫煙によって体内に取り込まれたタールとニコチンが、細胞内でウィルスを除去する有効な細胞の活性化を促すとの発表を受け、東京都内のたばこ販売店では取り扱う全銘柄が…

Got 'Til It's Gone

Janet Jackson「Velvet Rope」が聴きたくなって、CD棚を探す。AppleMusicにあるのはわかってるけど、あえてCDを探すが、見つからない。面倒になって、YoutubeでGot 'Til It's Goneを聴く。ありふれた、失恋ソング、ジョニ・ミッチェル"Big Yellow Taxi"のサ…

日曜午前

村上"ポンタ"秀一が「笑っていいとも!」に出演したときの映像をみた。1993年、当時自分は大学生で、これは当時も見た記憶がある。おそらく日曜日の「笑っていいとも!増刊号」でみた。 https://www.youtube.com/watch?v=rsbKxq24Qfo 三十年前のトーク番組の…

Restroom

駅や商業施設のトイレで、入口脇などにレイアウト図が設置されていることがある。あれを見ると、男性用なら区画内に小用と個室がそれぞれ配置されていて、女性用なら個室だけが男性用よりも多めに配置されているが、トイレ全体は男女共に同面積であることが…

在宅

朝から妻が外出したので、終日家で一人だった。空は気持ちよく晴れ渡っていたけど、ずっと自室で本を読んでいただけの一日になった。中野重治「五勺の酒・萩のもんかきや」を読み進めた。なんというか、印象や簡単な感想を書こうとしても、なかなか言葉が出…

筍を買ってきて、木の芽もパック詰めをかなり大量に買ってきて、まずは包丁で切ったものをいきなりグリルで焼いてみた。一口食べて、あ、これはなかなか、上手くいったではないか…と思ったのだけど、しばらく食べ続けてると、かすかなえぐ味がじょじょに気に…

書き捨て

道を歩いていて、あるいは電車の中で、あるいは食事中に、ふと思いついたことをがあって、ならば今日のブログはこのことを書こうと思って、だいたいの概要まで想像することがたまにある。しかし、そういうときは大抵しばらくすると、さっきまで考えていたこ…

アクセスポイント

さいきんレコード屋に行くと、昔みたいにどんな棚から見始めても何でも引っ掛かりが見つけられて何時間であろうが延々見ていられたのが、どうもそうではなくなってきた。ほしいものがはっきりしてないのと、たまたま目について手に取って眺めたくなる気持ち…

腐臭

大きな公園の一画に、家族連れがたくさん集ってるような広場があって、遊具があり売店があり炊事場があり手洗い場やトイレなどがあって、その傍らを通り過ぎたとき、唐突に、強い腐臭を嗅いだ。夏場に生ごみが放つ匂いとか、そういうのではなくて、もっと強…

雑談

朝の電車、一番端の座席に座って居眠りしていたら、若い女性ががやがやと三、四人のりこんできて、すぐ近くのドア脇に固まって楽し気にお喋りを始めた。朝の電車というのは混み具合に関係なくふだんは静寂が支配しているのがふつうで、こんなふうに複数人が…

春食材

フキノトウやタラノメは、天ぷらにして食べたいけど、家での揚げ物の準備と片づけがどうにも億劫でなかなか手を出せない。タケノコも今の時期は巨大なのが売ってるけど、あれもとぎ汁がどうとかぬかがどうとかえぐみがどうとか、家で下ごしらえするのが相当…

フランシス・ハ

Amazon Primeでノア・バームバック「フランシス・ハ」(2012年)、面白かった。主人公のフランシスは見習いのダンサーで、ダンスカンパニーからは戦力外通告されてしまい、ニューヨークをいったん離れたり、あてもないのにまた戻ってきたり、見栄をはって意味…

久しぶりに下北沢に行って、駅前から代田の周辺までかけて散歩した。我が住まいのある足立区の景色と、ここ下北沢の景色のもっとも大きな違いは勾配の有無である。ちょっと驚くほどに、この町は坂道ばかりの印象がある。ちょっと日野市や八王子市を思い起こ…