夜の雨

土曜日の夜だったか、寝るまでの時間、窓を開けたら風が入ってきて、レースのカーテンが大きく持ち上がり丸く膨らんで、すぐに吸い込まれて網戸にぴったりとへばりついた。部屋を風が、波のように行き来しているのだった。気温は肌に涼しく快適に感じられた…

ウズベキスタン・台北・イギリス

黒沢清「旅のおわり世界のはじまり」(2019年)をDVDで観る。ウズベキスタンでのオールロケ作品とは予想外で驚いた。主人公はスタッフとともに海外を取材中のテレビレポーターで、けっこう内向的で非社交的な感じ、周りのスタッフもわりと冷たくて他人に無関心…

慶州 ヒョンとユニ

A PEOPLE作品5本、1,800円で3か月間見放題! http://www.uplink.co.jp/cloud/features/2693/ で、チャン・リュル「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」(2014年)を再見。去年吉祥寺の映画館で、はじまった直後に寝落ちして中途半端にしか観てなかった映画で、こ…

ウロコ

先週の店に行って、お裾分けいただいた鰺と鯖のお礼を言う。しかしあれだけの切り身を一日か二日で食べきるのは大変なことだし、そんな一気食いみたいな食べ方をしては勿体ないので、ふだんの下処理にせよ今回みたいな棚ぼたのいただき物にせよ、保存方法を…

表情

ものんくる 無観客配信LIVE「LIVE FROM NIHONMONO LOUNGE」を観た。ドラムは打ち込み、これまでとは少し違ったアレンジ、音数控えめ、楽曲の骨格がより浮き出たようなシンプルな印象、そんなバックトラックに乗るボーカル吉田沙良の、なぜかちょっと煤けたよ…

娯楽作品

たとえば、ナチスが諸外国やユダヤ人から奪った金品、美術品、宝飾品、家具調度品、その他が、幾つもの倉庫に積み上げられている。毎日のようにトラックがやって来て荷物を下ろしていく。それらが何十両もの貨物列車にぎっしりと積み込まれる。貨物車は延々…

黄金列車

佐藤亜紀「黄金列車」を読み始めてしまった。1944年、ハンガリー帝国の官僚バログはナチスがハンガリーに貯蔵する物資を列車でベルリンまで運ぶ役割を請け負う。この時代のこの舞台設定、もはや超の付く娯楽作というよりほかない感じで、やたらと面白くて、…

小説のタクティクス

佐藤亜紀「小説のタクティクス」を読んだ。戦略(ストラテジー)と戦術(タクティクス)という言葉があり、戦略は長期計画、企画構想、おおまかな目的の提示を示し、戦術は戦略を実現するためのさまざまな施策ということになるだろうか。これを作品の「形式」「…

せんきょ

僕ら二人が並んで歩いている前を、僕らよりもたぶん一回りくらい若い夫婦が並んで歩いている。ご主人はパナマ帽をかぶっていい感じにヨレたアロハシャツを羽織って、裸足に草履履きな、下町の兄さん風でちょっとカッコいい。そして二、三歳くらいの子供を抱…

くるり、刃疵

くるりのドキュメント映像配信「[特Q]ツアー リハーサルの記録」を観る。ライブツアーのリハーサル風景を三十分くらいの映像で、頭から終わりまで聴けるのは冒頭の「Morning Paper」くらいで、あとの曲は途中ぶつ切りばかりで、しかも岸田の声は風邪のせいか…

待ち合わせ

ちなみに感染者今日もけっこうすごいけど、どうかね・・・ 今月は今夜だけにしますからーー!! はい、でも遅れますからね、すいません、これから向かいます。 了解です。Kさんも遅れるってさっき連絡ありました。 君もうお店着いてるの? もう席にいます。 …

捌く男

鯖はぜんぶ竜田揚げ、鰺もぜんぶフライにした。大量の揚げ物が、食卓にのぼった。すばらしい。壮観である。でもこんなにたくさん、絶対完食できないよね、そりゃでしょ、いいよ無理しなくて…などと言いながら、夫婦二人で相当食べすすんで、それでも多少は残…

仕込み

前にちょっと口約束しただけの話だったのに、まさかこんなにたくさんお裾分けしていただけるなんて、どうしよう…と、ひたすら恐縮するほかないような贈り物を、居酒屋の店主からいただいた。今朝、千葉の沖合で釣ってきたばかりの鰺と鯖が、ビニール袋にぎっ…

雨が路面を強く打ち、風が猛烈な勢いで通り抜けて路肩の木々を揺らしているのが、ビル窓際から見下ろしていてよくわかった。ひどい天気だ、夜までに雨が止んでくれないと厄介だ…と思っていたら、幸運にもその後ほどなくして、雨があがる。待ち合わせ時間にな…

予定

木曜日の夜までに片づけたいことがあるけど、それを片付ける前提になる条件が固まるのは金曜日だ。だから仮の前提に基づいて準備しなければならない。で、その条件を金曜日に確認して、予想通りなら準備内容の提出で終わりだが、予想からズレていたら修正し…

マーチ

朝からかなり強い雨が降っていたようだったけど、出掛ける直前に晴れて太陽の光がさんさんと降り注ぎ始めた。水にぬれた路面や植え込みの緑や木々が猛烈に光を反射させはじめて光の洪水みたいになっていた。夏のはじまりですね…という感じ。 小中学校はもう…

家で鰺

土日や休みの日に、家でぼけーっと過ごすことが多い。昔からそうだけど最近とくに。何の予定もなく何もせず、無為に過ごしているのが好きになってきた。どこかへ出掛ける気持ちもあるが、家でじっとしているのも同じくらい魅力的だ。どちらも楽しいことだ。…

部屋

食器を片付けて散らばった本や何かを整理して、電気を消すと部屋は暗くなる。暗くなった部屋が沈黙したままで、僕がそこから出ていこうとするのを、静かに待っているような気配をたたえる。そんな部屋の様子を僕はしばらく--と言っても数秒かそこらだと思う…

階級闘争

マルクスとエンゲルスの『共産党宣言』(1848年)においては「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」と規定され、階級闘争は社会発展の原動力として位置づけられている。(wikipedia"階級闘争"より) 資本主義社会においてプロレタリアート…

本源的蓄積

もし僕が中世ロシアの農奴の家に生まれて、そして死んだとしたら、その人生は幸せだっただろうか。(むしろ、じつは僕は本質的には農奴では?) 土地と人間の労働力が、商品として扱えるようになり、世の中は変動する。金は人を、いやがおうにも自由にする。金…

Birthday

有給取得日、自宅に一人。購入した出刃包丁が、午前中のうちに届いた。さっそくスーパーの鮮魚売り場へ行き、鰺を二尾買って、まずは一尾を捌いてみることに。あらかじめyoutubeの三枚おろしの映像をしっかりと観て、充分にイメージを脳内にふくらませたうえ…

高田馬場

97~98年頃、高田馬場にバイト先の事務所があって、月に一、二回ほど通っていた。たぶん半年かそこらだけの期間だったはずだが、なぜか今でもやけに記憶に残っている。マンションの一室を改造した内装の感じ、エレベーターの二階に上がってドアを開けるとき…

土と日

昨日は、久々に図書館に行った。まだ一部の利用が制限されていることもあるのか、図書館はかなり空いていた。とはいえ図書館に行くのは、さすがに久しぶりな元の日常という感がある。その後、高田馬場を経て池袋へ移動して、岡﨑乾二郎のタイル作品「ミルチ…

明るさ

高田馬場のAlt_Mediumでqp個展「明るさ」を観る。高田馬場駅から少し歩いたところにあるギャラリーは、自然光のよく入る白壁のきれいな空間。手のひらに乗るくらいなサイズの、ほぼ正方形の紙に水彩の作品群が、すこし壁から浮かんだように展示されている。…

テラス

久々にいつもの店でE氏と会食。いつもの店だがテラス席に座るのははじめてだ。雨はざあざあ降っていて、気温も低めで、むしろそれゆえに、大変快適だった。中入ります?と言われたけどここでいいと言った。こういう酷いコンディション下で、たよりない軒下に…

Timing

ブラックビスケッツのTimingという曲が昔からどうしても好きで、いまだに聴きたくなる瞬間が訪れるので、わりと困っている。今から20年以上前の歌謡曲で、しかし当時からテレビなんてほとんど見てなかったし、ましてや当時のバラエティ番組なんてまるで興味…

ヌードルス

アメリカの禁酒法は1920年から1933年まで。映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の主人公ヌードルスが少年時代に殺人で逮捕収監されたのがおそらく1920年代初頭、刑期を終えて仲間と再会して間もなく禁酒法が終わるらしいから、そのときすで…

利益

たとえば、なにか商売することを考えたとして、自分なりに思い浮かべたイメージで、もしかして上手く行くかも…と思えるタイプもいるだろうし、何を思い浮かべようが、上手く行くだなんて夢にも思えないというタイプもいるだろうけど、僕は完全に後者だ。料理…

商品

まだ読み始めたばかりだが、白井聡『武器としての「資本論」』がとても面白い。マルクス「資本論」は、当然のこととして僕は、読んだことはないのだが、しかし本書に引用された冒頭の数行をあらためて読んでみると、これはたしかに、人を惹きつけずにはおか…

気をつけろ

今日も降ってる。部屋が暗いので照明をつける。終日読書、まさに雨読の休日。「スイングしなけりゃ意味がない」読了。戦争というのは、やってる途中もおそろしいものだが、それが終わるときも、同じくらいおそろしいものだと、これまでその手の書物を色々と…