2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

はにわ

薄暗い廊下の突き当たりに向かって歩いていて、向こうに何か、ぼんやりと誰かが居るなあと思ったら、どうやら女性のようで、単にその場に立ち尽くしているような様子だった。まっすぐに立っていて、真正面からまともにこちらを見返しているのが、近づくにし…

白昼

今日も外出。夜遅くに帰る。でも外出するのは面白い。こんな平日のこんな時間に、なぜ僕はこんな辺鄙なところを歩いているんだろうと思う。路肩の雑草やガード下の滲む赤錆とかを、じーっと見つめてしまう。どこだここは、どこだここは、と常に思っておる。…

就寝と起床

最近、毎日のように、もう1時間でも30分でも早めに寝て睡眠時間を確保したいと思っているのだが、しかしなぜ僕は、今日もこの時間まで起きているのだろうか。朝になれば、必ず後悔する事がわかっているのに、今の僕は、朝の僕を、また明日も苦痛の只中へ投げ…

台風一過

今日の空をあらわす便利な言葉。台風一過、という言葉でしか表現できないようなとんでもなく素晴らしい快晴の空。もはや季節がどうとか気温がどうとかいうレベルを超えている感じ。信号待ちのときに、思わず日陰に入りたくなるほどの日差し。 それにしても京…

子供の頃、ホースの中に入っている水は細長い形のままでホースの中にいる、という事を想像していた。あるいは水道の蛇口から出る水も、その見た目から、水として細い形をしている、と思っていた。しかし水は無色で透明で、あのようにさらさらとしていて、触…

100円ショップ

100円ショップに行くと、B4スケッチブックとか12色のクレヨンとか24色のカラーペンとかが売っていて驚かされる。これら全部買っても300円(税抜)である。安いなあ、と今更ながら思う。まあクレヨンの品質とか良くないしスケッチブックは10枚綴りで若干ボリュ…

携帯

家に携帯を忘れてきた事に気づいた。これから会社を出て客先に行かないといけない。上野から茨城県のかなり遠くまで行く。仕方がないので関係者にメールして、もしも何かあって連絡取りたいときは業務携帯を持っていくのでそっちにかけて下さいとメールして…

夜のタクシー

後部座席に乗り込み、助手席シートの裏に大きく貼ってあるその車の運転手の正面から撮られた顔写真と記入された姓名を見つめる。初老の男性。タクシーに乗るといつも、その顔写真を見て、今、目の前で運転している人物の後頭部を見て、この顔写真と目の前の…

会議

夜の11:30まで会議して結果すべて差し戻しになるんだからすごい。長い映画のラストでほとんど何も始まってない場所にまで戻ってきたときのようだ。というか、本当に映画じゃないの?というくらい、すべてが現実味を薄れさせたままの状態だ。終電のなくなりそ…

横顔

別にさほど親しい訳でもないし、特別気が合う訳でもないが、仕事の都合上、図らずも長年の付き合いになってしまっている人というのはいて、そういう人との関わりというのは、ある意味まったく無駄のない、そつのない、完全効率型の、ビジネスに特化した形式…

Forty Age Riot

もう30も半ばを過ぎた年齢だというのに、僕なんか40に手が届こうとしているというのに、今更、人が、人を叱ったり何事かを強制させたりできるものだろうか?というか、そんな疑問を抱いたことなど今まで一度もない。というか実を言うと僕は、昔からわりとそ…

大人

どんな事になっても自分で何とか解決策を見つけて自分で処理しなければならない。それが、大人というものだ。誰にも頼らず、自分だけの力で何とかする。そして、最終的には、成果だけを黙って差し出す。それが大人というものだ。そう思って頑張ってると、い…

一日の終わり

今日は一日、人から頼まれた用事をやっていた。難しいところが多々あり、かなり真剣に悩みながらやった。2時間くらいでけりをつけようと思っていたのに、結局4時間も掛かった。しかも、出来は思ったよりも良くない感じで、心身共にくたびれて、こりごりして…

上野で名宝、家でペ・ドゥナ

上野で「皇室の名宝―日本美の華」に。大変な混雑。若冲の部屋は普通に観るのはちょっと無理な感じ。どの絵も上半分しか見えなかった。本館 特別1・2室の特集陳列、中国書画精華の作品群を観れたのがすごく良かった。何しろ13世紀とか書いてあるだけですごい…

鴨せいろ

いつものせいろではなく冬季限定の鴨せいろを注文した。鴨は久しぶりだったが、実にうまかった。しなやかで弾力のある、まるで血の塊のように濃い味の歯ごたえのある肉で、それを噛み砕き、染み出る旨みごと吸い尽くすようにして嚥下する。香り高く実に旨い…

My Favorite Things

「カンバセイション・ピース」を読み進めていて、ビートルズの箇所に来た。「やっぱりビートルズは自分が聴くものではないと思ったのだった」ということばがとても印象的。ビートルズに関する記述はその後もかなり長く詳細に続くが、しかしそれらは基本的に…

「カンバセイション・ピース」で、森中たちと花火大会の話が終わった後、夏休みに入って、最初に奈緒子姉が来て、奈緒子姉はあらわれたと同時に、というか小説で最初に出てきたときには、その場所に既にあらわれていて、もう浩介と高志を間違えたりするエピ…

シャンシャンシャン! ヘイッ! シャンシャンシャン! ヘイッ! シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン! WOOOOO ヘイッ!

保坂和志の新しい小説「未明の闘争」を読み、ある種の緊張を感じる。ある作品を、ことに新作と呼ばれて世に出たばかりの作品を読むとき特有の緊張、というのがある。とりあえず読み終えて、何はさておき次号が出るまでに「カンバセイション・ピース」を再読…

「The Visitor」

終日、家で読書したり音楽を聴いたりする。外はとても良い天気で、もう結構ですよと言いたくなる位さわやかで気持ちの良い気候だ。そしてキンモクセイの香りも、もういくらなんでもやり過ぎでは?と思わざるを得ないほど、かぐわしい。世界全体がトイレの芳…

「空気人形」「トウキョウソナタ」など

新宿バルト9で「空気人形」鑑賞。(本文中でネタばれしてるので注意)ペ・ドゥナの素晴らしい裸身を見ることができただけでも良かった、と思いたいところであるが、ちょっと色々抵抗を感じさせられる部分が多く、個人的には後味の悪さを胸に抱いて劇場を出た…

「ヴィヨンの妻」

映画「ヴィヨンの妻」をMOVIX亀有で観る。どうでもいいけどMOVIX系映画館の上映開始前の「映画ってたのしいなあーーこんな楽しいものほかにないよーー映画をみれば幸せひゃくばーい、みんなで観れば楽しさひゃくばーい、みんなで泣けば感動ひゃくばーーい…た…

綿矢りさ「蹴りたい背中」読了

読み始めて冒頭からかなり「すごい!」と思わされたまま、最後まで一気に読んでしまった。半日以上電車移動してた日だったために今日一日だけで読了。これは面白かった。ものすごく陰険で陰湿でほとほとウンザリするような、しかし表面上は異様に明るく笑顔…

綿矢りさ「インストール」読了

うーんなるほどーという感じ。もう一度読みたいか?と言われれば、うーん…という感じ。でも「良い小説」とは、こういうものなのだろうか。要するに僕が「良い小説」というものについてわかってない、ということなのか。…きっとそうなのだろうな、という感じ…

台風

台風が来ているなんて知らなかった。今から数時間前にはじめて知ったのだ。知った途端に、外の感じがそれ風に見えてくるから面白い。台風というのはまず、風と雨の音の騒がしさがあって、風というものそれ自体の、空気の波動以前として鼓膜に直接作用する原…

遺影

古い写真を見ているときの不思議さは面白い。自分が撮ったのだから、かつてその風景の中に自分も居た事は間違いないはずなのに、そのことがもう、まるで信じられない事のようになっている。そのような風景がこの世界にかつてあったことはかろうじて信じられ…

十二年前

この前実家に帰って、元自分の部屋を漁っていたら、1997年までバイトしていた店の写真が出てきた。97年で閉店すると決まって、記念に写真を撮って簡易現像キットでネガにしておいたのだが、そのまま焼き付けるのも忘れて、十二年間放置しておいたものを、先…

ものすごく久しぶりに、蛇をみた。仕事で埼玉の山奥にある製造工場の大変綺麗に整備された舗装道路を歩いていて、やはり綺麗に刈り込まれて太陽の日差しを浴びて鮮やかな黄緑色を輝かせている芝生の広がりの上を、まるで黒い絵の具がチューブから噴出するか…

悪魔の誘惑

40日の断食を終え、空腹を感じていたイエスの前に悪魔が現れ、神の子であるならば、石をパンに変えるよう命じたらどうだ、と問う。それに対して、イエスは「人はパンにのみ生きるのではない。エホバの口から出るすべてのことばによって生きなければならない…