2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

水分

八月三十一日は夏休みが終わってしまうので、子供たちにとっては失望の日だろうから、それを想像すると妙に楽しい。外を歩いていて、子供を見かけると、夏休み終りだな。ざまあみろ、という気持ちで、つい、にこやかな顔になってしまう。それにしても最近、…

外地

あまり乗らない地下鉄の路線に乗って、あまり降りない駅で降りるだけで、歩いている人々がまるでまったく違う風土のまるで違う文化の中で生活を営んでいるまったく別の人種であるかのように感じられるのはなぜか。いや、別にもう、そんなことどうでもいいや…

夏の終りの夜

網の隙間を目ざとく見つけたカラスが生ゴミの入った袋をひとつかふたつ適当に引きずり出して嘴で掴んで頭をぶんぶんと振り回し破れた裂け目から零れ落ちる色とりどりの残飯を容赦なくついばみ爪をかけて薄いビニールをさらに大きく引き破ってぎっしりと詰ま…

TOTO

ひたすら悲しみに暮れる。泣きぬれる。トイレに行って、小便器に向かって立ち、ジッパーを下げて前を開け、股間をもつ両手のそれぞれの腕に生えた産毛が、冷たい陶器の左右の淵に、着くか着かないかくらいの距離にまで近づいて、ふと力を緩めて、尿を放出す…

くりかえす

近々、友人の結婚式があるので、そのための服でも見に行くかと行って新宿に出かけたのだが、いざ色々見ても、まったくどの服もほしくなくて困った。もう良いとか悪いとか以前の、ほとんど、これらが売られている事の意味が、ぜんぜんわからないという気持ち…

39

もう三十九歳だぜ!?ひどいでしょ。自分で自分が信じられないよ!いつの間に自分がそんな年齢になってしまったんだって!そういう自覚が、正直まったくないんだよ!そんなんでいいのかね?どう思うよ!? えー全然そういう風に見えないですって。全然大丈夫…

Badge

単に韻を踏みたいだけの、ほぼ無意味な歌詞で、そもそもタイトルも譜面に「bridge」と書いてあったのを「Badge」と読み間違えた事から名付けられたらしく、徹頭徹尾、言葉に意味はないようなのだけれど、そこがなんか、妙に好きというか、妙に無理やりにでも…

自転車でゆく

街灯に照らされた夜道を、二人乗りの自転車が、左右へふらふら、ゆらゆらとしながら進む。前が男で、女は後ろで荷台に横座りで腰かけて体をひねり男の腰に手を回してしがみつくみたいな格好でつかまっている。男は自転車を、漕ぐというより、ペダルに足を乗…

小説

色々な小説を立て続けに読んでいる。色々と読むごとに、ああなるほどなあと思うことばかりであるが、でもなるべく、読んだそばから忘れていくような感じで、とにかく次々と読む。小説は、おもしろいのかおもしろくないのか、その事自体が、あまりよくわから…

帰路

自転車に乗った人が、僕を追い越して走り去って行った。その後、行った先の赤信号で止まっていた。自転車はこころもち斜めに傾き、自転車の人は自転車のサドルにまたがったまままっすぐな片足を地面に立てて自転車を支えていた。僕は、その人の隣に並んで信…

今どこ

いま起きた。ということは、いつの間にか寝てたということ。いつ寝たのか。さっきまで起きていたはずだが。食事の後、何をしていたのか。そもそも、食事はしたのだったか。帰ってきたのが、何時だったか。何時のバスに乗ったのだったか。バスに間に合うよう…

魅了

しかしこのサングラスの女を知ってしまったからには、これより上を想像することはもはや不可能だった。これをもって生涯の理想の女とすることに一片の迷いもない、それほどまでの美しさだった。そうはいっても要するにそれは外見だけのことだろう?いや違う…

黒澤明の「乱」の原田美枝子の事をぼんやりと思いだす。あの女怖かったなー。希望通りに事が進んで最後満足気な感じで、このメギツネがー!とか云われてずどーんと一太刀で殺されてしまうけど…いや、原田美枝子っていうか、そのとき原田美枝子殺したおじさん…

自販機

飲み会ばっかりで、さすがに朝起きてからうんざりした気分になる。先週も今週もずーっとだ。飲むことを想像すると胸が踊るが、実際飲んでるときは全然美味くない。いや美味くないとは言わないが、大して楽しんではいない。でもじゃあもう行かないか?と言わ…

電車に乗ってたら、突然雷鳴が轟き、空が暗くなり、雨が激しく降り注ぎはじめた。映画のロケのシャワーみたいな豪雨だと思って見てたら、みるみるうちに、そんなレベルをはるかに超えて、すさまじい勢いの降りとなった。ほとんど怒りを感じさせるかのような…

ランボー

1870年といったら、まだ16歳か17歳。どういうガキだよこいつは、という感じ。「十七歳、まだ分別に、やや欠ける。」生ビールやレモネード。「六月の夜、十七歳だ−おのずからなるほろ酔い気分だ/めぐる精気はシャンパン酒 頭にかっとくる……口をついて出るの…

歩く

昨日も今日も、何か書こうとしても、面白くなくて、全然、一行か二行書いて、馬鹿馬鹿しくなってしまうような気分で、時間はたっぷりと余裕があるのに、こんなぐだぐだしてるのは実に無駄なことに思えるので、いいや散歩にでも行くか、と思って、小銭入れと…

醒める

四日前も三日前も二日前も昨日も今日も飲んだ。自分が酒を飲んで酔いつつあるのを、差し向かいの相手が見ている。それを自分は知っている。あるいは、相手も飲んで、少しずつ酔いつつあるのを、自分が見ていて、相手もそれに意識的である。で、向かい合って…

スーラ

昨日、乃木坂で開催中のオルセー美術館展をもう一度見ておこう(三回目)と思って行ったが、入場待ちの行列の長さを見て断念した。その何日か前に初台オペラシティ「ベルギーの新印象派の画家たち」と、世田谷美術館の「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール…

西日暮里

西日暮里の事はよく知らない。終電がなくなるとタクシーに乗る場所で、改札を出てタクシーがいるところ、という事しかわからない。いや、ここ十年で、一度か二度か、三度か四度は、西日暮里で飲んでいる筈だけど、でもその店にもう一度行ってみろと言われて…

飲んで大騒ぎ

大体、飲んで大騒ぎしている訳である。で、翌日、坂中さん昨日は大丈夫でした?ちゃんと家まで帰れました?とか聞かれるのだ。は?なんで?普通に帰れたけど??というと、ああ、そうですか、そりゃ良かった、とか言われるので、なんでそんなこと聞くの?と…

Van Morrison

酔ったが、まあ、なんか書かなきゃ、っちゅう事で。Van MorrisonのHere Comes The Night、Domino、Wild Nightと。今聴いてるということで 今日もおそらくは飲み過ぎなのだろう。でも今は平気。いつもそうだけど、飲んで帰ってきて、寝る前までの夜の時間は平…

北千住

駅のホームから階段を下って改札に向かって歩いて、行き交う人たち全員と、なぜか唐突に友達になってしまって、皆が笑顔で軽く会釈して通り過ぎていき、僕も一々すれ違う人々と、あ、どうも、ああ、どうもどうも、と挨拶しながら歩いたので、ほんの少しの距…

高崎・深谷

車体とドアの隙間を埋めるためのゴムをぺりぺりと取り剥がして、状態を触って確認した後、運転席側のドアを開けて、あらかじめ挿し込まれているキーを回してエンジンをかけ、アクセルを踏んで音に耳を澄ます。前方に行ってボンネットを開けて中の様子を黙っ…

大貫妙子の横顔

歌っている大貫妙子の映像を見る。途中で失敗してるのだけど、それでもこの映像のテイクは素晴らしい。可愛らしく照明に照らされて白く輝くワンピース。手のしぐさ。愛らしい髪型、まなざしの先、額から鼻の先へと至るなだらかな曲線、マイクスタンドに添え…

愛をとめないで

歌詞を熟読する。君の人生がふたつに分かれている。そのひとつが真っ直ぐに僕のほうへ。素直に涙も流せばいいから。ここへおいで くじけた夢をすべてその手に 抱えたままで。ノイズ・キャンセリングイヤホンのMDR-NC32NXが先日ついに断線し、左から音が出な…

笑う二人

電車の中で隣り合って坐っている仲の良さそうな若い男女二人。かすかに幼さの残る目鼻立ちのくっきりとした顔立ちがお互いよく似ていて、姉弟かと思ったけど、たいへん仲睦まじい様子なので、知り合って最近仲良くなったばかりのようでもある。お互い澄まし…

drop

昨日、「青い春」をDVDで久々に観た。まあまあ、というか、思ったよりもあんまり面白くはない。でも松田龍平は素晴らしい。ひょいっと柵を乗り越えて屋上を走るところとか、思わず見惚れてしまうほどかっこいい。でも映画としてはまあ、こんなもんかという感…

今日の出来事が既に写真になっている

炎天下のもとで交差点に立って信号が青に変わるのをぼんやり待っているとものすごい暑さで死にそうになる。このままだと死んでしまうから早く青になってくれと祈っていると、そのうち青になるので歩き始めるのだが、別に歩き始めたからといって暑くなくなる…