夏フェス


フジロックは、その音楽が音楽的に良いの悪いのは大した問題でなく、まあなにしろぜんたいてきに音楽があるというのはいいな!という手ごたえをお土産に帰ってきた感じはある。ステージがあって、人がいて、とりあえずがーんと音が出てるというだけで、なぜ人間がそのようにすくわれるのか謎だが、とにかくそういう効能はある。ばかばかしいことだが音楽そのものがばかばかしいものなので、そのありのままのばかばかしさの爽快感にふれるだけでもそうだ。なにしろそうか。こういうふわっとしたなつかしさが、心に残るのが、毎年この場に集う人々にとっての苗場の夏というものかと思う。それは一瞬だけあらわれた外国のようだ。今急に同じ場所に戻っても、既にそれは存在しない。また来年のある期間だけあらわれる。そういうのを、今まで皆が、楽しみにしてきたということらしい。そうやって、夏のある時期の一瞬だけ現れるものを。