down


この世のものとは思えない、でも夢で見たことならあるかもしれない、でも自分の想像を越えた、自分の価値において最上の領域の最上辺に位置する、もっともうつくしい、もっとも大切な、ありがたい、畏れ多い、不可侵の、未知の、快楽の限界の、その先の暗闇の、恐怖と不安の極北の部分に、今手が届こうとしていて、今触ろうとしている、でも手で触って、そしたら意外な触感で、よく見ると何やら細かく網目状で、その網目のなかの粒々の一つ一つをよく見たら、一つの中にそれまでの自分の全部が入っていて、それ一つが今までの全記憶で、だからそれが全世界で、それらの粒がぎっしりと無数に寄せ集まっていて、おびただしい数の多重管理で、それを納得しようとする途中で僕はオーバーフローして真っ暗になった。