会議の予定を、すっかり忘れていた。わざわざ呼びに来られて、え?どこでしたっけ?F8だよF8。早く早く。

会議室の席には、知らない人ばかり。

あらかじめ何も聞いてなくて、前提となるものを共有していないまま、よくわからない会議に出るケースは多い。

そういうときは話を聞きながら、何が話し合われていて、何が確定されようとしていて、登場人物ごとに、何を回避したいと思っていて、誰が、何を厄介だと思っていて、誰が、最低何を動かしたいのか、何をそっとしておきたいのか、どこにパワーを注ぎたいのか、何を言うと怒りだし、どうなれば安堵するのか、そういうのを、同時に感じようとする。そういうやりとりの網の目の強弱のニュアンスを感じながら、自分なりの言葉もいくつか織り込みつつ、場合によっては、最後まで議題の根本的な趣旨を理解していないまま、パワーゲームに加担したり、逆振りしたり、やれやれと汗を拭きながら隣席の人と顔を見合わせて苦笑いをしたりもする。

夜は、泳ぐ。八時五分で上がる。八時半の電車に乗る。ゆるゆると、電車は流れるように進む。