セシウム」の歌詞をパクって


生牡蠣

生牡蠣を

十日に一度くらいは食べないと気が済まない病気に罹った、その日から

夢や愛や汚れた期待を、トツキトウカで見事につむいでくれた。


…生牡蠣はうまい。

ロックバンドが古いとか、クラブシーンが熱いとか。

こんなにうまいものはない。


食べると、うまいではなくて、驚く。あーっ!こんなのかーっ!と叫んでしまう。


チリソースだの、ポン酢だの、ボウモンウィスキーだのには見向きもしないで

レモンだけ絞りかけて、急いで口で吸う。殻の水分まで、音立てて全部吸い込む。

口の中いっぱいに広がり、喉ぜんたいに沁みて、やがて腹の中で、全部がひろがって満ちる。

おいしい泥。流動して滴り落ちる鉱物。これが、本当にうまいと言えるのか。

白ワインは凄い。


あぁ、ほら、もっと喰えよ


あの女はエロい。


あのバンドがダサいとか。


このブランドがシブいとか。


息一つするたびに