家に居ます(ALBRECHT DÜRER Vol.2)


ファーバカステル社の筆記具は通常の筆記具より微妙に芯が太く、それに伴って全体の径も太い。通常の鉛筆その他の直径が総じて約8mmであるのに対して、アルブレヒトデューラーだと10mm程度はある。この事が、ある部分で非常に厄介なのだが、さあ、普通よりちょっとだけ太い筆記具を使うと、利用者にとって何が一番困る事なのか?がお解かりだろうか?


…そう。短くなった筆記具を「補助軸」に挿して引き続き使う事が、極めて困難になるという事なのだ。


嘘だと思うなら、文房具屋とか画材屋とかで、「補助軸」を探して見るがよい。通常の鉛筆サイズ以上の太さをしっかりホールドしてくれる代物にお目に掛かることは、非常に稀である。筆記具の中でも「減って長さが変わるもの」の代表が鉛筆であろうが、市販されているほとんどの鉛筆の直径は、例外的な用途のものを除き、皆一律である。…そりゃそうだ。一社だけ違うサイズにしたら、この世のありとあらゆる補助軸だの鉛筆削りだのに非対応な、孤高のオリジナル品になってしまう。そんなリスク、普通背負わねえだろう…と思ったらアルブレヒトデューラーはさすがですよ。なぜか一社だけドスンと太いんです。ありがとうございますって感じである。


まあ、しかし僕もこの画材を使い始めて早3年以上…。ある程度快適に、ストレスなく画材のポテンシャルを引き出せるような工夫は、さすがに少しずつは重ねてきている。…今日はGW特別企画と銘打ち、A・D使いである小生の「ちょっと使える筆記具補助軸知恵袋」と題して、諸々ご披露したい。


まず、若干太い径をホールドする補助軸についてだが、まあこれはちょっと探せばワリとあるんです。スリットの入った金属の筒を、留め金で上から押さえつけるヤツで、これなら1.5mmくらいまではホールドできるんじゃないだろうか?これさえゲットすれば解決。まったく問題なしです。御徒町の金華堂には売ってます。価格は忘れました。えー意外と高いなあと思ったように記憶してます。。僕は10本くらい持ってます。


…で済むなら楽な話なのだが、さすがにそれでは済まないのです。もう一つ厄介な問題点の浮上に、お気づきの向きもある事と存じますが、そう!通常の補助軸はホールド力が極めて弱い!という事です。これはこの世に存在する全ての補助軸に該当する問題点です。


この弱点が、如何なるアクシデントを引き起こすか?をまず例示してみましょう。まず、画面上でおおきく勢いよく上下左右にストロークして御覧なさい。すぽーん!と中身が抜けて、向こうの壁の白いとこにびびっ!と鮮やかな筆跡が、トゥオンブリばりの痕跡として残ります。賃貸住まいで下手するとこれでもう、敷金戻ってきませんからね!笑い事じゃないです。


あるいは、…これが一番イヤなんですが、補助軸付けた筆記具の先にカッターをあてがって、その状態で先を削って御覧なさい。これ恐怖ですよ!!ってか、削る途中で、自分の指ですぽーん!と中身を押し出しちゃうのです。下手したらスパーン!って何か大事なものを切ります。下手するとこれでもう、敷金分くらいの治療費ですからね!笑い事じゃないです。


…さあ、このようないくつも想定される恐ろしい事態に対処するため、私が如何なる手段を用いたか?をいよいよご説明するときが近づいてきました。…勿体ぶる気はないので、結論から申し上げます。「ホース留め金」です。写真画像でご覧下さい。


 


…如何でしょうか?もう相当な力で引き抜こうとしても抜けないほどの、極めて強靭なホールド・ポテンシャルを示してくれています。ちなみに私、これを使い始めてから、カッターで筆記具の先を削るのが楽しくて仕方がないくらいですからね!(笑)…何というか、もうこれ以前の段階には、戻れないっていう、確かな安定の信頼感があります。


写真イメージをご覧になった皆さんが多分、一番気にされてるのは「え!これって重くないの?」ってことじゃないかな?と拝察します。でも、これが、そうでもないんです。確かに有効ホールド径数を多めにとってある品種ですと、ちょっと非現実的な事にはなります。何しろ、指で摘んで回すためのネジがくっついてます。そんなのを付けたら、鉄のリボンが付いた筆記具みたいになっちゃいます。

僕が愛用してるのは、これのドイツタイプで、東急ハンズで315円でした。装着したときの手に掛かる負荷については、ほとんど問題ないレベルです。むしろ、遠心力を利用したまったく新たな筆跡を手にする事ができる微かな予感すら感じてるくらい。。まあ机上に、常にマイナスドライバーを常備しておかないといけないですけどね。でもこれは「慣れ」です。今の僕がこれを用いて筆記具の換装するスピードっていったらすごいです。換装中を撮影した動画の方、準備できたらアップしますんで。


あと、意外と軽視できないのがデザイン性ですね。アートを作り出すための道具なら、やっぱりアーティスティックな香りを湛えていてほしいと思いませんか?…もう皆さんの中にも、既に上に載ってる写真イメージをご覧になって、一瞬でドキっとした方もいらっしゃるのではないか?などと拝察します。このオリジナルアイデアに拠ってホールドされた補助軸から香るものすごく格調高い雰囲気、私は正直結構、惚れています。たとえばこの、締め上げたとき外側に伸びる留め金シロ、これが使用時、邪魔に感じられるのでは?とご心配される方もいるかと思うんですけど、私は邪魔じゃないですね。それに、邪魔だと感じる方は、ニッパーとかで切ってしまえば良いんです。…でも、ぴょーんと勢い良くはみ出してる留め金シロのハネの感じ、私はすごい個性というか、北欧人気質で頑固な主張を感じるんで、大好きなんですけどね。


貴方ったら、もうこれ無しでは、やっていけないんじゃないの?はは、そうかもね!もう、自分の女房とどっちがいいと思ってんの!?…なんて、妻とも良く話すんです。悪い事は言いません。最初の2週間で良いんです。皆さんも、だまされたと思って是非一度お試しあれ。(なんでこんな長くなるのか。下らないため後で削除するかも)