小さなドル箱


ヴェンダースの「東京画」を観ていたら、日本のパチンコ屋が出てくるのだが、この頃(1983年)のパチンコを一度で良いから体験したかったと思った。今のパチンコ屋はあまりにもキレイすぎて煩すぎて各業者の思惑が鬱陶し過ぎて全く興味をもてない。「産業」臭さが耐え難くてなるべく近寄りたくない。木製の床とヤニに染まった内壁の寂れた空虚な喧騒。90年代半ばくらいまではそういう店はまだ結構あった。


カメラで撮影された店内、往年の名機「ゼロタイガー」が現役稼動している。サンドウィッチと呼ばれる玉貸機から出る玉を手で受けて上皿に流し込むくわえタバコの客たち。おっさんもいれば婆さんもいる。何が良いって、あの小さなドル箱が良い。片手で持てるような細長いヤツ。1000個くらいしか入らないんじゃないかな?僕もあのサイズのドル箱を使ってるような店で打った経験は何度かあるけど、きっと今は皆無だろう。当時はあれくらいの範囲内での勝負をやれたのだ。余りは?と聴かれてキャビンマイルド。と反射的に答えていたのを思いだした。