「A Night at the Opera」Queen


Night at the Opera


たまたま、今再生されてしまって、それを聴いているから書くのですが、久々に聴いたけどやっぱりすごく良い。っていうか、なぜか今になってクイーンのオペラ座の夜を聴いて、今更のように感じた事をあえてブログに書く、という事をまさにあえてしてみようと思ったのもあるし他に書くこともないというか他のことを今から書くのが大変だったというのもあるのだけど、でも今、クイーンについて、良いとか悪いとか言えるような冷静な距離感がまったくなくて、人の脳に記憶されたものは、時間がたつとじょじょに消失していったり下の層に沈殿してしまったりするものなのだろうけど、このアルバムの一曲一曲はもう、天井裏の埃の塊というか、積年の澱というか、酷い云い方だけどほとんどそのようなものとしていつまでも頭の片隅のこびりついている感じである。でもそういうべったりとした新鮮さゼロの状態でありながら、やはり今でも「おおー」と思える瞬間が残存してるんだから、それだけでもすごい事だ。特にA面が良いですね。クイーンは偉大であるよ。


飛び道具的な効果音が要所要所で派手に鳴らされて、勢いはあるけどちょっと子供だましっぽく軽薄な「Death on Two Legs」から、このアルバムの奥底の深さを最初に印象付ける小さな名曲「 Lazing on a Sunday Afternoon」へメドレーで繋がり、つつましく短めにまとめた後は、さらにクイーンらしさを取り戻して熱く情熱的な「I'm in Love With My Car」を思いたっぷりに奏でる。…この冒頭がすごい…などと今更言う必要もないのだけど、この3曲の流れはほんと見事であるなあ。で、あとやっぱりギターがすごいなあ。そして、おぁーすごい。。とか思ってるとおもむろに、なぜだかポツンと流れから切り離されてるかのようで少し寂しげで、しかしとても人なつっこくて朗らかで暖かみのある「You're My Best Friend」が滑り出すのだ。この曲は当時大ヒットした超ド級ポップ・チューンな訳だが、でも大衆消費材としてのポップソングというモノの、ほとんどいつまでも手で包んでおきたくなるような、いつうち捨てられても仕方がない運命だけど、それだからこそポップスであって、この事のどうしようもなく切ない儚さを湛えていて、アルバムのラインナップの中で最強に売れ線な癖に、なぜかこの曲が一番か弱く見えてくるようなたたずまいであることに、なぜか心揺るがされるのだ…。ポップ・ミュージックは君のベスト・フレンドだ、と歌ってる訳では全然ないのだけど、そんな風に聞こえたりもするようなしないような…。