よォーこそ


Ryota Sakanaka:none; へようこそ。じゃあどうぞ最後まで、みなさんごゆっくり。聴かせたいうたが、たくさんあるのさ。さあ、どうぞ、ゆっくりしてらっしゃい。でも、あいにくですが、今日は特におはなしはありません。わるいけどまたあした、寄ってみて下さい。みんなは、野原に、腰を、下ろして、髪や、薄い、シャツを、風に、なびかせていましたね。でもきみが、一番、素敵、だった。。バイバイ、バイバイ、バイバイ、またね!またあした、一緒に…。


(でも明日は一晩中、家に居ないので、正直、明日も、来てもらっても困るんです。。ほんとうはあさって、おこし下さい。おととい、きやがれ)


もう10年以上前、地元によく行く古本屋があったのだが、その店に入るといつも、長髪で小太りの見るからに胡散臭いヤツがレジに居て、そいつが地獄の底から響いてくるかのような低く重く弱々しい声で「……いらっしゃーーいい」と言うのであった。その「……いらっしゃーーいい」という声を聴くたびに、ああこいつは今日も生きてるなあと思ったものだった。


今、僕もそいつの声色を召還して、皆様に精一杯の気持ちで訴えかけたい。「……いらっしゃーーいい」