November


はっと気づくともう11月なのだ。でも11月は嫌いではない。11っていう数字の並びが悪くない。11月というと一年の中でも如何にもすわりの悪い感じで、本当に月と月の橋渡し的な役割しか担っていない感じの、なんとも中途半端な感じがあって、別段なにかメモリアル的にわかりやすい国民的イベントがある訳でもないし、人々が華やいだり盛り上がったりする事もない。むしろ師走に向けて徐々に慌しくなり始める手前の、微妙な静寂、喧騒の中にも、さあこれからが年の瀬に向けての本番だという不安と期待の準備期間という感触が強いようにも思う。気候的にも日に日に寒さが増して、こういう11月みたいな日々の繰り返しこそが、人々を徐々に、無意識のうちに心身共に、冬をすごすモードへと変貌させて行くのだが、そういう、かなり重要かつ強力な変容の時でもあるはずなのに、普段の上でそんな感じはまるでせず、ただひたすら地味で薄暗く俯き加減で肌寒いという、そういう印象だけが前面に出ている昨今の月日である。