平日


自分は平日よりも休日のほうが、やや、さもしい人間になるようだと思った。なぜなら、休日はとにかく、我が強すぎるからかもしれない。休日の時間は誰からも拘束されていないから当然、原則的に、全部自分の時間なので、その時間に対して、うまみは全部吸いたいし、おもしろくないことになると、苛々したりもする。そういうこころのうごき全体が、かなりさもしいのだ。要するに、自分というものを気にしすぎている。ひとりで生きていけない人間の典型的なパターンだ。全部を、自分で制御できると勝手に思っているから、自分の意志で行動したり考えたりしていると思ってしまって、その結果何を思おうが、自分に戻ってくるように感じている。もっともおもしろくない考え方だ。自分は自分の意志で動いたり生きたりしていない、という事を、あらためてちゃんと思い出さなければ駄目だ。


平日の方がいくぶんかマシに思えるのは、やはり平日という時間は基本、勤め先のセオリーに自分が縛られていて、その中で完全に自分の頭の中だけが、あるは自分の目が見るものだけが、あるいは自分の耳が聴く音だけが、それとして自分に入ってくるからかもしれない。それを自分にとってどうこうとか、そういうことを考えないまま、そのまま感受している。こうじゃないと見えないことはいっぱいあるので、これはとても大切なことだ。まだまだ自分に未練があるから駄目なので、普段からなるべく自分の我を通さずただ単にそこにいて、目の前のものを見るようにした方がいい。普段、なかなかそのように考えることができていないので、かえって目が曇っていることが多い。どんな状況であっても、自分というものを拾わずに、単に目の前の出来事を拾うようにしたい。