梅雨-01


先日の記述で、太宰治が三十九才の一年間の最後の方になって、心中して、四十才になる筈の誕生日に、遺体で発見された、と書いたがこれは間違いであった。正しくは太宰治が三十八才の一年の最後の方でやったのである。で、三十九になる日に遺体で上がったと。…だから自分に置き換えて「あと一年あるのだ」というのも間違いで、本当は「すでに一年前に死んでる」が正しい。自分はもう既に太宰治が作品を生み出していない年月を一年も生きてしまっている。20:51頃、千駄木にて人身事故があったらしく千代田線が全線運転見合わせとなった。今救急隊が駆けつけ、救命活動を行っているとの事。生存確認中であるとの事だった。しばらくして、折り返し運転を開始する旨が告げられ、電車はふたたび動き出した。それにしても雨がよく降り続く。屋内に蒸したような空気が充満している。上下運動を繰り返す送風口から吐き出る風が空気のよどみをかろうじて動かし、人々の頭の上に立ちのぼる陽炎を揺るがせる。湿気をたっぷりと含んだ、くしゃくしゃに折りたたまれたハンカチを広げて、あえてきちんと四つに折り直して、それで首筋から耳の側面から額や目の周りにかけて丹念にごしごしと拭いて、拭き終わったらさらに二つに折ってずっしりと重くなったそのハンカチを鞄にしまって、ついでに携帯電話を開いて、液晶画面の表面には無数の細かな水滴が付着しているが構わずそのまま閉じて鞄の内側のポケットに閉まう。iPhone4の予約をどうしようと思うがよくわからないし料金プランの細かい説明を見て理解するのが面倒くさくて、ワールドカップを見るのと同じくらいそれに興味を持つのがダルいので、別に発売日じゃなくても何ヶ月か経ってからでもいいかと思い始めている。