大貫妙子の横顔


歌っている大貫妙子の映像を見る。途中で失敗してるのだけど、それでもこの映像のテイクは素晴らしい。可愛らしく照明に照らされて白く輝くワンピース。手のしぐさ。愛らしい髪型、まなざしの先、額から鼻の先へと至るなだらかな曲線、マイクスタンドに添えた両腕。頼りない不安げな手探りの瑞々しさに満ちていて、何度聞いても胸を打つ。この映での大貫妙子の姿そのものが「誰も知らない、あのときの横顔」である。人を正面からではなく側面から見るときの後ろめたく罪深き悦び。その驚き。大きな声で、あの人が笑ったら、なぜか私も嬉しくなる。不思議ね。没入している人を見ていることの愉悦。