遅れ


今はもう、すさまじく眠い。もう限界だ。ところどころで意識が薄くなる。これを今、書いているが、なるたけ早々に切り上げて、とっとと書き上げてしまい、できればあともう五分後か十分後には、僕はもう身体を横たえて意識を失っていたい。あなたがこれを読んでいる今、すでに僕は寝ているはず。そうありたい。そうであってほしい。でもそんな風に思いながらも、なんだかんだとどうでもいいことをだらだらと書き連ねていると、五分や十分など、あっというまに経ってしまう。それで、まだ自分が起きている事が不思議だ。ことによると、あなたがこれを読んでいる今、僕はまだそれを書き続けている可能性すらある。いや、むしろ僕があまりにも時間をかけ過ぎているがために、もしかするとあなたがこれを読んでいる今、僕はまだそれを書き終わってなくて、僕が書き終わった頃には、とっくの昔に、あなたはそれを読み終わっているかもしれない。なにしろ遅い。一歩も二歩も遅い。遅れる、という言葉では追いつけないほど遅いのだ。皆を待たせている。もう読み終わりましたか?すいませんでした。かなり待ちましたか?後ろを振り返ってばかりですね。後悔先に立たずですけれども。どこまであらかじめ進めていたんですか。へえ、あ、そうなんだ。それはすごい。でももう眠い。椅子からずり落ちてそのまま直接、床に身体が叩きつけられて、骨のない軟体動物のように、くにゃーっとした態度で、のそのそと起き上がってくる。