どのあたりなのかはわからず、上手く説明できないが、今いるこのホームの階段付近の場所からもうすぐ来る電車に乗ったとすると、目的の駅に着いたときにはなるべくロスなく、できればホームに降りてすぐ目の前に丁度階段があるような位置に降りて、その階段を昇って駅前のロータリーの脇に出ることのできる改札から出られるように、そういう最短の行き方ができるホームの位置を目指すとして、それなら、今立ってるこの位置から乗車した場合、思ったところに降りることができるのかどうかを知りたいのだが、頭の中で電車と、その長さと、現在位置と、目的地の駅のホームの端から端までの、端と真ん中と反対の端とにそれぞれ合計三階か四階ある階段のそれぞれの位置と、その階段を昇った先のそれぞれに一台ずつある改札口との関係を思い浮かべても、どうしても全体がぐしゃぐしゃに混ざり合ってしまって、思い浮かべている場所が、現実のどちらの方向で、今いる場所から平行移動したときの場所にぴったりと合わさらずに困る。だいたい、今立っているこのホームの位置に、これからそもそも電車がどちらからやってくるのかさえ、今すぐにはわかってない。駅名を書いた看板を見ると、次の駅名の書いてある方が電車の進行方向だから、それですぐわかるけど、それを見ないとどっちから来てどっちに向かって行くのか全然わかってない。そして、どうせ電車が来て、それに乗り込んでしまえば、車内から見てさっきまでいったい自分がどちら側のホームに居て、どちらのドアからこの電車に乗り込んだのかということもわからなくなってしまうはずだ。それは電車に乗ったらすぐにそのままの姿勢で方向を変えずにじっとしていないから余計にわからなくなるのだ。乗って、ぐるっと反転して今来たホームを見返したりしても、それでもう既にだめだ。反対から見ただけでもう、どっちから来たどっちの方向なのか今の自分がわからない。想像しただけでわからないほどだ。そしてもちろんさらに、今こうして走っている電車と電車内の自分が、向かう先の駅に対してどういう方角で進入していくことになるのか、つまりその駅が自分や電車に対してどちらの方向を向いた状態であらわれるのかもだ。だから目指すべき場所と今時分がいる場所をそのまま座標位置を同じくしたまま重ね合わせて、重なり合った平面上で現在位置と目的位置との最短距離を計算しておくということはとてもできそうにない。こうしていつも行き当たりばったりに電車に乗って、偶然降り立った場所から最寄の階段を昇って駅の改札を出る毎日ではある。しかしひとまず大過なく日々は過ぎている。