もうあと30分したら寝ようと思っていて、結局30分延長して、さらにもう30分延長している、いまその段階まで来ている。そして、これを書き始めたところだ。部屋の中で、頭の上の照明が照らす小さな空間を見ているのは心が安らぐ。夜というだけでよかったと思うものだ。これが翌朝以降はもう、早いところこの一日を終えてしまおう。早送りでかまわないから、何もかも無関心なまますぐ夜を迎えて、そうしたら一刻も早く寝てしまおう、布団をかぶって意識をなくしてしまおうとそればかり思っている。それでまた夜になったら、うす暗い部屋の中でいつまでもぼんやりしている。

 iPhone のアプリで「星座表」というのがある。これは素晴らしくて、要するにiPhone版星座早見盤だが、アプリを起動してiPhone を夜空に向けると、その方角の天体を映し出し、各星座と星の名前を表示して教えてくれる。実際に夜空の下じゃなくて、部屋の中でも、天井を見上げながら、その星座を見ているとそれだけで時間が延々と過ぎていく。面白いのは、地面に向けても、変わらず天体を表示し続けてくれること。つまり南半球側の夜空もナビゲーションしてくれる。夜に下を見れば、もちろん太陽も下にある。自分の身体の、足元の下の、地面の反対側の地表から見た空が、もし夜だったならこれか、と思うと、これまた何とも、不思議な面白い気持ちになる。

 小学生の頃、一時期、星座は好きで、紙できた星座早見盤をもって毎晩夜空を眺めていたこともあったので、一等星の名前とかを見ると、懐かしさもあるがそれ以上に、当時の興奮した気分が嘘みたいに新鮮なまま甦ってくる。