夜の7時になる前に一度外に出た。まだ完全に暗くなっていない、透明度の低い、青くふっくらとした空。格子状に黄色く光る高層ビルの、輪郭に食い込むように青い色が侵食してきている。歩行者用信号の広範囲にひろがる黄緑色の点滅が、液体がこぼれているみたいに目の端でちかちかと瞬いて、向かいの入口の奥からそわそわとした気分が気体になって放出されてくる。春の季節の、これから夜になる気配の期待が高まっている。