夜は会社の人たちと中華街でごはん。中華街はすごくひさびさ。メニューの品数の膨大さを前にして、男性はわりとあっさり、面倒くさくて適当に頼んでしまって後はどうでも良いという態度を取りがちなのに対して、女性は結構しっかりと見るし、何を食べるかを考える。僕もそのときは女性の側に立つ。これだけ色々あるなら、メニューを熟読して、注文まで二十分くらい考えてもいいのではないかとさえ思う。肉や、魚や、野菜の名称を字面で見て、想像するだけで、忙しく脳内演算が稼動しっぱなしになる。・・・やがて注文した品々が、運ばれてくる。皆がおずおずと小皿に取り分けはじめる。スパイスの効いた、しっかりとした味の、中華料理というものはそれと一緒にある酒の役割も色々、千差万別だなと思う。紹興酒という、普段はまず、飲もうとは思わない類の酒が、このときだけはたしかにちゃんとした役割を担っていると感じる。唐辛子、生姜、山椒、胡椒の香り高さ。食べ終えられたあとの、しっかりとしたソースに塗れた各皿たち。夥しい数の料理の取り分けられて食されて空になった汚れた小皿が重ねられていき、下げられてはまた新しい小皿が追加され、取り分けてまた食べて、順番に順番に。・・・で、順番に順番にを、またこの次の、今日注文に至らなかった料理にまで、次や次の次にまで続けるのが大切なのだと思うが、なかなか同じ店に再訪しないものだ。