目黒と品川のあいだにある林試の森公園に行った。


人がたくさん。家族連れ、犬の散歩、ジョギングの人が多い。


しかしそれでもこの公園では人間よりも木々の方が強いというか、木々に見下ろされているような、鬱蒼とした森の中を、虫や鳥と同じように小さな人間どもがちょろちょろしているような感じ。これはなかなかいい公園。クスノキやポプラの、樹齢百年にもおよぶ、まさに巨木と呼ぶべき姿を園内の各所で見ることができる。


公園を出てから、目黒の住宅街を抜けて、祐天寺まで歩く。人がいない。高級住宅地の静かさ。物音ひとつしない。ごくたまに、宅急便の車とかデカイ高級車が、音もなくゆらっと角から現れるのを避けるだけ。でも途中、公園に差し掛かると、そこはまた家族連れやなんかでいっぱい。誰も居ない場所には、誰もいないのに、公園とか、大きな通りには、いきなり人が溢れている。祐天寺に近づくと、はっぴを着た地元の人々が目につき出す。近くでお神輿をやっているようだ。そういえば今日ウチの近所でもやっていた。今日は東京のどこでもお神輿の日なのか。


お神輿は見えないが、人のざわざわとしている音だけが通りの向こうから聞こえる。その一帯だけは、人が集まって賑わっているようだ。賑わいが、ゆっくりと移動していく。いない所には誰もいない。


祐天寺の境内も、静か。


夕方が近づいてきて、帰る前にビールでも飲もうかということで、早い時間から開いてる店を調べて行ったら、建物の周りは静かなのに、店の中は意外なほど人でいっぱい。今日はどこへ行っても、人間がいたり、まったくいなかったりの差がはげしい。


店内のテレビで相撲中継がやっていて、逸ノ城が勝ったが、客は誰も関心がなさそうだった。…なんか、目黒の日曜日の午後に、酒を飲んでる人たちが、一人でカウンターにいる人も、何人かでけっこうしっかりと食事と酒で宴会している人も、それぞれいて、店としてはまだ日の明るい時間だというのに半分以上席が埋まっていて、皆めいめい勝手にしていて、上野のガード下なんかとはかなり違って、この雰囲気は、これはこれで、ちょっと面白いといえば面白い。