オフィスとは別のフロアに、従業員が休憩したり食事するためのけっこう大きめの休憩室があって、その部屋の隅に食べ物を温めるための電子レンジがある。このレンジの操作方法がかなりわかり辛い、らしい。僕はその電子レンジを使ったことがないからよく知らないのだけど、一般家庭用のやつではなくて業務用みたいな無骨なボディのやつで、ちらっと見たところ、1から10までボタンが並んでいて、脇には切り替えとか開始とかメモリーとか書かれたいくつかのボタンが並んでいる。おそらくそれぞれの番号ボタンに秒数をプリセットできるやつなのではないかと思われる。一度セットしてしまえば、ボタン一発で90秒とか180秒とかすぐに指定可みたいなやつで、スピードと効率重視な、如何にも業務用的な機能である。でも、だとしたらなぜ、そんな仕様の機械が、こんな休憩室にあるのか。そこはおそらく一日に百人とかそれ以上の人が使う場所で、ちなみにほとんどが若い女性だが、レンジ利用者もとくに昼時などは相当たくさんいるはずだが、皆、何の説明書きもなく、なぜあの操作パネルを使えるのだろうか。皆、どの番号ボタンが何秒か、わかっているのだろうか。正直、僕は怖くてあのレンジは使えない。銀行のATMや駅の切符売り場で困ってる老人の気持ちがよくわかる。ああいうものを、無言でなぜかわからないけどいつの間にか操作をおぼえて、黙々と使ってるんだから最近の人はやっぱりすごい。