昨日の店で、サービスの男性はちょっとミュージシャン風のゆるく巻いたような長髪のとても顔立ちのきれいな人で、向かいに居たIさんに「あの人カッコいいよなあ、もし僕が女ならいいなあと思うなあ。」と言ったらIさん「うーん、そうですかね・・・」とあまり賛同してくれない。あら、そうなの。好みって難しいねえ、と言ったら「いや、そうじゃなくて、たぶんあれなら、見た人のほとんどがカッコいいって言いますよ。」と言うので、ああ、なるほどそうか、だからIさんは逆にあんまり食いつかないのか、と言って、「うーん、まあ、それもあります。」とのこと。僕はその店に来たのは二回目だったので、サービスの彼がワインのことを聞くと異様なくらい熱心かつ真摯に答えてくれることを知っていて、今日もピノか似たもので、このくらいの価格でいくつか紹介してほしいと頼んだら、思ったとおり、すごく熱い感じでいくつかのボトルを持ってきてくれる。その様子を見ていたIさんが「たしかにカッコいい!!」と急に変わるので、それってやっぱり、こういう人だっていうのがわかると急に魅力が出るってことかね?と言うと「ですね。」とのこと。中身が全然わからなくて、単にカッコいいだけでは、まったく何とも思わないってことかぁ、と言うと「それは当然そうでしょ。」とのこと。でも男は、女は外見で、みたいなところはどうしてもあるよね、と隣のEに言う。「まあ、そうですね。男はまあ、そういう生き物ですから。」とE。「わー、やっぱり男の人ってそうなんですよねー、」とIさん。いや、まあたぶん、僕は違う、と思うけど…、と思ったけどそれは口に出さず、いや、全然違わないのか、っていうか、自分はむしろ、男も女も外見だな、それで見がちだなと思う。とくに男は、とくに最近の若い男性の、容姿端麗な人がほんとうに昔だったら考えられないくらいキレイな人が増えたと思う。この前ソフトバンクのショップ窓口に居た若い子とか、店を出てから「なんてきれいな顔をした子だろうねえ」と、妻と驚き合ったりもしたものだ。あの顔で、キャリアショップ店員をやってるとか、イタリアンでワインをサービスしてるとか、それも含めて外見だとして、それ全体でとても整った容姿に思われる。むしろ男性の方にそう思える。女性だとよくわからないというか、やはりちょっと遠いというか、あまりわからない感じはする。だからIさんにとっても、同じように女性よりも男性に距離を感じるということかも。でも、じゃあ女性で好いと思う感じの人はいるか?をたずねればよかったけど、それは聞くのを忘れてた。まあ、そんな話題に食いつくタイプではないかも。


一軒目を出た後、Eと二人になって、久々に、湯島のバーで「研ぎ澄まされたナイフような」やつをのんだ。味わいより先に、顔の皮膚と嗅覚に伝わってきて、そのまま、頭部全体の感覚を開いてのんでいるような感じになる。ここはほんとうにきれいな店で、来れると嬉しい。


今日は、十一時半くらいに起きた。寝たのが四時前くらいだったけど、それでもこんなに寝たのは超久しぶり。いつものパターンで、東京の丸善で本をみて、そのあと北千住に寄って少しのんで帰る。こたつに寝そべりながら群像に載っている青木淳悟の小説「匿名芸術家」を読む。すごく面白い。小説が面白いのと同時に、こんな小説を書くというのはきっとものすごく面白いことなんじゃないだろうかということを想像して、またわくわくと胸が高鳴るような感じ。