Cosmic Dancer


T.Rex「電気の武者」を久しぶりに聴く。1971年リリース。すごいね。プロデューサーのトニー・ヴィスコンティが才気走ってる感じ。ちょっとJ Dillaを思わせるような、絶対に適切な箇所にはまらず、どこまでも浮遊したままのストリングス。全編このアレンジで圧しとおされていて、すごい自信に満ち溢れた出来栄え。そして、すでに71年の時点で、これほどまでに強烈な距離感、のようなものを、実現できていたことが凄い。今やっている、この事が、実際のところ信じるに足る何かであるわけでもなく、おおよそ裏付けの無い、卓上で興じている賭け事に過ぎない、のかもしれない、とでも言うかのような、どこかで否定しがたく醒めてしまう感触。ロックにおける音楽的な「醒めたポーズ」サウンドの、もっとも最初のスタイルとして、これほどまでの完成度の高さを示してといういるだけで驚く。そのうえで、Cosmic Dancerが歌われると、もう180度ぐるっと回って、かえってこれで、ポーズだの距離感だのを忘れて、何もかも無かったかのように、シレッと見て見ぬふりで、世間知らずで、ポケッとした表情で、純朴で、無神経に、自分はもうこの曲だけ聴いて、それだけで生きて行きたいとさえ、思えてしまう。