管共有


ついに身体同士がネットワークで共有されたので、人間は便の排泄をシェアできるようになった。つまり「トイレ行くなら俺の分も一緒にしてきて」が、現実に可能となったのだ。でも実際に他人の排泄を代行するのは、やはりちょっと抵抗があるから、そういうことは普通しない。今では世の中に排泄を専門に従事する一部の人々がいるだけで、大多数の人間は排泄行為をしなくなった。もちろんネットから切れてしまったら、自分でしなければいけないのは当然だが、日常生活ではまずありえない。これだけでもう、身体の感覚としては、昔とは相当違ってしまったし、汚水や汚れた床も存在せず、かつての衛生観念まで記憶から消えた。そういうのは今はもう、ノスタルジーとしてしか思い出せなくなった。