折畳傘


駅で傘を畳もうとして異変に気付く。骨が一本妙な具合に飛び出している。折り畳み傘の、布を支える金属のフレームとその周囲に電気配線ごとく絡んで走っている制御ワイヤー状のじつに繊細かつ複雑な印象を与える感じはけっこう好きで、傘は折り畳み傘ばかり買うのはもちろん携帯性が良いからだけれども、機構として複雑で商品によっては細かな工夫もあり構造美・稼動美の魅力が楽しいからというのもある。しかしそれゆえ脆弱で長年の使用に耐えるということはないのも事実で、今回壊れた箇所は、その稼動部位の根元から完全に折れて断絶した状態だった。いや、なんだかんだ言っても結局こういう事が起きてから、ようやくはじめてその骨の様子をしげしげと眺めた。この傘はこれでさよならだ。買って一年も経ってないはずで、やや短寿命だった。