一日、雨が降っていたが、室内はわりと蒸し暑い。窓を開けると雨の音と共に少し冷えた空気が入ってくる。肌に感じる六月らしさと匂い。スーパーに行く途中、小道の脇に人工の小川が流れている。後ろに立ち並んでる家のどこかで飼われているのだろう一匹の猫が、小川を飛び越えてこちらに来ようとしているのだが、我々がいるせいでやや躊躇してこちらを睨んでいる。我々も猫を発見してしまったので、やー猫だ猫だと騒いでいつまでもその場を動かない。両者しばらく膠着状態が続いたが、やがて意を決したらしく猫の方がぴょんと小川を飛び越えて怯む様子もなく近付いてきて、僕の足のふくらはぎあたりにゴツンと自分の頭をぶつけて、自分の身体で僕を押しのけるかのようにして通り過ぎていく。妻がその背中や頭をなでると、猫は静止してしばらく相手のするがままにさせている。やがて、さあもういいだろうという感じで再び歩き出して茂みの奥へ消えていく。