「モダン・パラダイス展 大原美術館+東京国立近代美術館 - 東西名画の饗宴」 国立近代美術館


日曜日のことだが、常設も併せて観に行った。面白い絵がいくつか観れてよかった。普段常設で展示されてるヤツが、結構たくさん企画展の出品作品として展示されているので、場所が違うだけでかなり受ける印象が変わるのが新鮮だ。あと常設フロアでは、代わりに収蔵庫から引っ張り出されてきた、あまり観た事が無いやつとか、久々なヤツを観れて楽しい。全部の感想書いてると大変なので、この後、数日掛けてメモ的に書いていくつもりです。


とりあえず常設フロアの、鏑木清方「墨田河舟遊」が良かった。屋形船の中に複数の人物がおり、屋根の上には子供がふたりいて、遠景にも船が浮かび、人が乗ってるのだが、画面全体がでかく、一目見ると、何が起きてるのかわからずくらくらする感じ。


屋根にへばりついて、杭で船を押してる子供は、はいつくばっているので、どこに体重を乗せているのか、一瞬わからない。遠景の船と人はトーンが薄くなっていて、遠景だということがわかるのだが、遠近感がリアルに現れている訳ではないので、これも一瞬、空間のどこにいるのかわからない。主題となる、屋形船の中の群集の一部は、垂れ下がる緑のすだれ越しに見えていて、つまり一様に描写された人物の一部の上に、大胆に緑のストライプが重なっていて、この重ね方が、結構ショックである。あとは、真ん中で小さな人形の背中に手を入れて操ってる姿の人がいるのだが、この人形の描写が、周囲の人物の描写とあまり描き分けされていないので、ぱっと見て、単に、異常に小さな人が、絵の真ん中に浮かんでいるように見えて、これまたショックなのである。


そんなすごい複雑さをもった、面白い絵で、近寄ったり離れたりを繰り返して、かなりしげしげと長時間眺めるハメになります。面白いですよ。