風邪をひく


風邪をひきまして、昨晩はすぐ寝てしまいました。そんなにすぐ寝るつもりはなかったのに、気づいたら死んでた。翌朝起きたら、体のあちこちが、まるで油をさしていない古い機械のような感じだ。出かける時はマスクをしているので、呼吸を繰り返す口と鼻あたりの生暖かい感じに意識がかなり集まっている。外は寒く全身にも冷気が忍び込んでくる気配を感じているが、マスクの中だけが子供の頃を思い出すような甘い温かみに包まれている。…今かるく満身創痍っぽい気分である。


椅子に腰掛けると、体が楽になり、ああぁという力の抜けるような安堵の感触が立ち上ってくる。体がいう事を聞くとか聞かないとか、その事だけが気分を左右するのだとしたらそれはつまらない。そんな事を繰り返していつか死んでしまうのなら惨めである。かといって体などものともしないという気持ちを持つのも難しい。そういうのに、まともに向かい合ってなおへこたれないというのはすごい事である。見てみぬふりをして、体なんて無いかのような振る舞いでやるとかより、そっちのほうがよっぽどすごい事だ。


やはり「自分の体」が常に、目に見える障壁として意識にのぼってくる状態というのは、ものすごいストレスの高い辛い状態だ。それは目的を遂行するための行為なのか体を抑え付けて思い通りに操作させるための行為なのか、ほとんど訳のわからない戦いになってしまう。自分に打ち克つ、というのは「自分の体」に打ち克つという事だろうか?あるいは、そうでしかあり得ない自分の状態を受け入れて納得する、という事だろうか?