寒い日々


前方から驚くほど冷たい風が自分のからだを押し返そうとするのに逆らって歩く。…あまりの寒さにもうだめーと音を上げそうになる。しかし連日、本当に寒い日が続くが、北の大陸側と較べたら日本の寒さなんて全然大した事なくて、むしろ微笑ましいくらいだという話を聞いたことがある。まあそりゃあ、何もかも凍ってしまうとかそんなマイナス何十度とかの世界と較べたら、まったく何てことのない寒さなのだろうけど…でもそれにしても寒いとも思う。でもよく考えてみると結局のところ僕が感じてる寒さだとか熱さだとかなんて、普段生活している調整された空間との比較において生じる落差の大小でしかないのだから、、それ自体がなんともひ弱な話だとは思う。たとえば僕の感じてる寒さと丸一日外に居る人が感じてる寒さとはおそらくまるで違うだろうし、中国北東部の人やロシアの人ともまるで違うだろう。というか、違うのは当然だけど、それ以前に今のままだと僕のいう寒さはロシア人のいう寒さと質において違いすぎる。そんなの寒さとは言えねぇだろ?と中国人から笑われてしまう。何よりも身体がその寒さを落差としてしか感じていない事が悪いのだ。それでは単に「差異」に反応してるだけである。差異とかの情報をすごい更新頻度で送り続ける事のできる機械とかが、とくに現世においては秀でており万人から求められているみたいな思い込みが蔓延してるけどあれはウソで、ほんとうは差異とか落差なんて何の価値もないのである。だからそれを「寒さ」として感じられうようになれよ俺の身体!少なくとも今の僕が云ってるレベルだと、まあ例えるなら、風呂に足を付けて熱いとか冷たいとか云ってる程度のものである。大事なのは、すぐに「寒い」とか脊椎反射してないで、もうちょっと寒さ自体の質感とか色合いを感じられるような生活をしろよという事なのでしょう。まあでも無理っていうか今朝も死にそうに寒いとしか思えないけど。