くるり with ウィーン・アンバサーデ・オーケストラ ふれあいコンサート ファイナル


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【出演】くるり /【番組内容】2007年12月12日にパシフィコ横浜で行われた「くるり ふれあいコンサート ファイナル」“ウィーン・アンバサーデ・オーケストラ”とウィーンで行なったリハーサルの模様や、曲への想いを語ったインタビューも併せてお届けします。お楽しみに!! /【公演日】2007年12月12日 /【会場】パシフィコ横浜 /【制作】TBS 2007


くるり岸田繁の、一度でも良いと思った音楽へのハマリ方というか感染しやすさは異常なほどで、ほとんど恋多き女優(?)とか云いたくなるほどの尻軽で軽薄な奔放さで、その結果作るアルバムも、熱い咆哮に染まっていたと思ったら次は冷血四つ打ちビートが延々続き、ストーンズとかの王道時期を聴き倒してど真ん中の直球を投げてきたと思ったら今度ははっぴいえんどで、挙句の果てにはモーツァルトとか云い出す。それはおそらく自分の資質を絶えず外部の刺激に晒して、そこで何が起こるのかをヒトゴトみたいに観ていたい気持ちもあるのかもしれないし、いやそんな企みめいたものですらなくて、単にこれええやん、とか思ってハマリ続けてる只の結果に過ぎないのかもしれないが、まあそれはともかく、そのような、その都度自分の可能性を一からリセットさせるみたいな事を繰り返してるくせに、毎度毎度極めて高いレベルで作品を定着させてきた実績をもっており、そこにはくるりとしか云いようの無い内実が満たされていて、もうその結果がすべてを物語るという意味では実にすごいバンドなのである。さすがにこれだけ揺さぶりがキツイとメンバー定着率は良くない事になるのだろうけど。


まあでも、僕の場合アルバムを追いかけてるだけで、特に最近だと「おーやっぱくるりだね。はいはい。いつも良いね」と思って済ませていたところもあって、ちゃんと聴くのをここ最近ちょっとさぼっていたところもあって、その怠惰を思い知らされたのが、今日CSで放映されたテレビでの、去年12月の横浜でのライブの模様だったのだけど、ウィーンのオーケストラと組んでクラシックのコンサート的趣向で催したコンサートで、この全体の出来がほんとうにびっくりするくらいものすごかった。こんなバンド今までいた??ってくらいである。いや勿論ロックとストリングスと融合させたなんて珍しくも無いし、スタジオ録音をステージで完全再現させてやろうと企む人だって大昔からいくらでもいるので、それ自体の新しさとかをどうこうという話ではないのだけど、でもそれにしても今時、ああいう手間のかかる事をわざわざやろうとするのがすごいし、かつ実際それを実現させたら、新しいの古いのとは無関係に、いきなりとんでもなく素晴らしいものになってしまうところが、まさにやってみなけりゃ分からない!という感じで、本当にびっくりした。


「惑星づくり」が弦楽サイケに変貌してたのにも震えたけど、やはり白眉は「アナーキー・イン・ザ・ムジーク」〜「WORLD'S END SUPERNOVA」あたりの流れだろう。どれもストリングス・アレンジが気絶するほどの甘美さと奥深さで、言葉をなくして聞き惚れてしまう。WORLD'S END…の、原曲を遥かに超える、静かに白熱していって、やがて音も無くほとばしるようなエモーションには全身が震えた。


何年か前、アニ・ディフランコが素晴らしくパーカッシヴ&パンキッシュなギターワークとジャズ的管弦楽を融合させて眩暈をおぼえるくらい素晴らしい音楽をやっていた時期があったのを思い出してしまった…。今回のくるりはそれを彷彿させる(僕だけか…)。とりあえず今日観た内容も収録されているであろう、今度出るライブ盤は要チェックだと思った。