Workin'


昨日、いや先月末から断続的に仕事が忙しかった。僕の仕事は、忙しいときは本当に忙しくなってしまうような特性をもっていて、その忙しさの実体というのは、これはもうどこまでも人間の匂いがしない何かであって、僕がやるべき事は、そのような無機的に容赦なく猛り狂う何かをなだめすかし、元通りに戻してあげるような事で、たまに猛り狂う何かとは、猛り狂い始めると極めて非人間的な仕草で断続的に症状を示し始めるのだけれど、とにかく僕に任されている事とは、時局に応じてその都度適切に最前の対処をこうじることなのだと思う。最低でもパニくらず、ヤバイ寸前まで状況を把握しておき、必要に応じてレポートし、必要に応じてコミットする。


冷静さを保ち、今、目の前で猛り狂っている状態をまるで他人事のようにぼんやり見つめつつ、しかしそれに何とか上手く立ち振る舞うよう身体の向きを小刻みに変えて、解析と対処を実施する。かなり不利な局面からの出発でも不平・不満は言わない。云うだけ疲れるだけである。っていうか何年も前は散々云ってたのでもう飽きた。一時間単位で考える。対処した履歴を並べる。あせらず適当に休み、また向かう。やがて終電の時間が来て、帰るべきかこのまま続けるべきか考えて、実際ラクなのはこのまま続けてしまう事で、帰るとむしろ帰宅途中や家に着いてからの自分を上手く明日へと継続させるための余計なパワーを使いそうで、要するに帰ると却ってくたびれそうにも思うのだが、まあやっぱここは帰ろうかと判断して、それで帰る。


翌日そこそこテンぱった気分で早起きしてすぐ会社に向かう。神経が張ってるような気持ちもあるのだけど、通勤途中に何度も携帯に着信が入っていたのを、会社に着いてから気づいたりして、やっぱ呆けてるのかもしれないとも思う。すごい勢いで呼び出されていて、一夜明けても相変わらずの猛り狂い具合を逆に頼もしく思う。切ない後悔、甘美な絶望、優しい悪魔…(笑)。。


そしたら予想外にも、一時間程度で大きく局面が動き、事態が沈静化を示し始める。まだ午前中だというのに、猛り狂っていた者共が少しずつ力を失い、うなだれ始め、たそがれめき、いつものリズムと空気が周囲を覆い始める。いくつかのコマンドを叩いて返る値を一瞥しつつ、あぁこれでひとまず終わりなのだなあと思う。考えてみれば先月末から断続的に、やけに長かったなぁと思う。これが今後もいつまでも続くという事の功罪を思う。自分自身の事を思う。ってかこの件で滞留してる他の事案を思うとほとんど嘔吐しそうにもなるのだけど、でもそれはそれ。今日は今日だ。…今日は週末だ。


夜になって、会社を出て、適当に寄り道して少し酔いに浸っている自分を見いだして、あぁ昨日までの自分にこの姿を見せたいと思う。そういうことを僕はしばしば思う。忙しいときはいつもそうだが、昨日の夜の自分はまるでテンぱっていて、一日後にほろ酔いの自分が居るという事をまるで想像できなかったから。でもそのあり得なかった想像が、少し時間が経過してから逆に照射されて再生される事のほのかな喜びが、結局は生きてる喜びの結構少なくない割合を占めてるのかもしれないけど。でもそれって不幸なことだろうか。