過去作品再見


2007年に展示したときの作品を久々に引っ張り出してみたら、なんというか、これはもう予想ををはるかに超えて、驚くほどそれら過去の作品群が、自分には素晴らしいものに思えてしまい、その事に戸惑う。。これらは明らかに問題を含んでいるものという認識を、展示終了直後から今に至るまで保持してはいるつもりだが、久々に目の前にあらわれた過去作品たちは、そういう記憶とはまるで無関係に唐突に、少なくとも今の自分自身には強烈に強くうったえかける質をもっていて、そのあまりの強さにたじろいだというか、作品をひとつひとつ、自分で引っ張り出してきて、それが目の前に現れるたびに、胸の奥を直接ど突かれるような衝撃を受けた。われながら自家発電的で幸せな人だなと呆れるが、でもほんとうにそう思うんだからしょうがない。というか逆に、去年から最近にかけてつくってきたものたちが、過去と較べて、どうあがいても太刀打ちできないのでは?という恐怖とも不安ともつかない気持ちに苛まれもする。


過去作品たちは、とにかく何より、厚みが違う。厚みというのは手数というか、表情というか、味というか、そういうものなのだが、これだけ厚みをもたせたというのはおそらく、これを描いた作者の中に、相当強い思い込みというか、根拠のない確信があった事を感じさせるもので、いやはや、よくこれだけ無根拠に、何ヶ月にもわたって強く思い込めたもんだと、さすがに呆れる。


でももう一度、そのレベルにまで入り込めないと、少なくとも厚みにおいてはこの地点までこれない訳で、まあ厚みだけが大事なわけじゃないし、むしろそんなのを喜んでる方がよろしくない可能性も高いけど、でもまあ、どかーっと気持ちよくやってる感はすごい横溢していたので、その事が今はやけにまぶしく、感じられた。