「BCD」Basic Channel


Basic Channel (Reis)


これは確かに何ともしれん説得力のある、すごく良いミニマルだなあという感じ。たとえば同じようなストイックなミニマルでありながらもJeff Millsとは明らかに違う志向性をもっているのだが、しかしそれでいてJeff Millsの最良の部分とも響きあうかのような、いずれにせよ極めて独自で強い質感を有した音楽体である。とか何とか書いてますがBasic Channelなんて今更言うまでもなく超有名で偉大なユニットなので、良いなんて当たり前の事なのだろうが、でも実際聴くと、なるほど良いモノは良いのだ、と実感させられた。


ミニマルというのは本当に良いものと、凡庸なものとの二種類があって、凡庸なものというのは大抵、最初にミニマルという形式があってそこに何かを流し込んでいるから凡庸なのだろうが、良いものとは、それがそのままで成り立っているから、結果的にミニマルのの形式にしかならないようなものなのだ。そういうのを体験している瞬間とは実にスリリングなひとときである。


Q1.1、Q1.2とか大変素晴らしい。ひたすらリフレインで、これだけで成り立たせている事自体がすごいのだが、こういうのを体験すると思わず「たったのこれだけの要素でも成り立たせる事ができるのだと言うことを証明した事が偉大」みたいなよくあるパターンの感想に落とし込んでしまいがちだが、そういう歴史的な価値が云々もよいが、実際に感じられるのはもっと、単純な音そのもの、それ自体が、自分自身の新鮮な震えや躍動に自らおののいている感じ、とでもいえばよいのかね。。ほんとうにそれだけの感じ。まあそういう、とにかくとても良い感じなのである。よいかんじです、いいね!としか言えないだろうという事である。


まあでも真剣に聴いてると、10分も経つと結構つかれるが。そんな真剣に聴くもんでもないといえば無いかもしれない。というかこれを欲しがってるときのような気分を、いつももっと手前に引き寄せたい。