雪pt.2


先月は二度ほど、雪が降った。最初は雨だったが、これは雪になるだろうなあと思うくらい寒い日だったので、やがて雪になったのでやはりなあと思った。雪とは、いつでも、大体そういう感じで降ってくるものである。


会社にいて、ふと窓の外を見たら、窓にはしっかりブラインドが掛かっているのだが、端のすき間から大粒の白い雪が大量にゆっくりと降り落ちていくのが見えて、あー降ってきたと思って窓際まで行ってブラインドを開けて、そのまましばらく雪を見ていた。ウチの会社はビルの7Fにあるので、そういうところから雪を見てると、雪というのは普通上から降ってくるものというイメージだが、そうではなくて、上から下まで一定のスピードでざーーっと移動しているその状態そのものを見ているような感じになる。ああ雪が落ちていくなあ、というか、ああ雪が下へ移動していくなあ、という感じだ。


その後何日かして、また雪が降った。夜、傘を持たずに歩いてたので、着ていた黒いコートの肩や胸元や袖に万遍なく雪が付着して、夜の闇の中、薄明るい街灯に照らされた自分のコートの上の、その雪の粒ひとつひとつの驚くべき鮮やかな白さがすごかった。まるで桜の花びらのようで、かなりの白さで、それらひとつひとつが、白という量感をもったカタマリとしてあり、それが如何にも「春」を連想させた。雪自体は冬だが、雪の量感や色彩は春に属しているような感じがする。


今日は桜がずいぶん咲きはじめた。