分かち合う皿


昼、外で食事してるとき、隣の席に座っていた中年のおばさんが、ああ結構ご飯が多いわねー。もうおなかいっぱいになってきちゃったわよーとか何とか云いながら食事を続けており、次の瞬間、その皿をふいに手に取って、姿勢を少しこちらに向けたかと思うと、持った皿を躊躇なく僕の皿に近づけ、そのまま傾けて、いきなり、僕が食べてる途中の料理の上に、自分が食べかけていた料理の残りをすべてぶちまけた!…という一瞬の幻想が頭をよぎった。そして、ああもしそんな事をされたらなんと言ってやれば良いのだろう?と考え込んでしまった。というか、今の豊かな時代だから、仮にそのような行為が現実に起きたら、異常行為と見なされるだろうけど、たとえば戦中や敗戦直後であれば、そのよな行為はまったく逆の印象を与えるだろうとも思った。私はもう食べないから、貴方残りを皆食べて下さい、と言って、皿の中身をこちらにすべて流し込む。とても気高く崇高な行為じゃないか。と思った。