走り書き


音声が振動となって空気中を伝い、針の先を震わせ、その震えがそのまま、円筒の表面に塗布されたスズ箔に微細な凹凸をもつ溝を刻み付けていく。再生時は、刻まれた溝を、先ほどの針がもう一度なぞることで、その微細な凹凸を針が拾う振動音が、かつての音として、あらためて再生される。これが、もっとも初期の録音〜再生原理である。。


初期のレコードというもののシンプルさには、本当に驚かされる。それは、完全に物質的な原理で動く機械であり、電気すら介入しない。レコードを「音のエクリチュール」と呼ぶことができるのは、この介入物の少なさゆえであろう。ここで実現されたことはたったのひとつで、要するに「音」というものを「書かれたもの(刻まれた溝)」に変換し得た。という事だけなのだ。


テープレコーダーも基本的には同じ原理なのだが、しかし磁気体が使われているところが違う。磁気体とは何か?…このページがわかりやすく面白かった。

http://www.asahi-net.or.jp/~ep8s-izk/ess/keisai/keisai1.htm

あとこちらも

http://www.tdk.co.jp/techmag/ninja/daa00211.htm


音を、溝に置き換えることも可能だし、磁気に置き換えることも可能だというのはやはりすごいことだ。でも結局は、要するに、それは空気を振動させるための媒体にさえなれれば良いのだ、ということである。精密に、それを振動させること。というか、その振動自体が、音楽であり、何がそれを震わすのか?はなんでも良いことになる。


テープ編集が可能になったということ。エクリチュールは、痕跡の強靱さを失い、酸化鉄の帯磁紋様となり、その上を録音・消去ヘッドが行き来する。溝の痕跡から、場の力学へとかわる。


「それは音を保存しているのではなく、電磁気的なエネルギー、即ち場の強度を保存しているのである。」


感情と知性…まとまらないまま、本日は終わり。


今日、帰ってきたら、テレビが壊れていた。全然、動かない。すごい、こんなに見事に壊れるものか。まだ買ってから二年しか経ってないのに…。