シャンシャンシャン! ヘイッ! シャンシャンシャン! ヘイッ! シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン! WOOOOO ヘイッ!


保坂和志の新しい小説「未明の闘争」を読み、ある種の緊張を感じる。ある作品を、ことに新作と呼ばれて世に出たばかりの作品を読むとき特有の緊張、というのがある。とりあえず読み終えて、何はさておき次号が出るまでに「カンバセイション・ピース」を再読しておこうと思って、昨日から読み始めた。


とりあえず「カンバセイション・ピース」を読んでいて以前も思ったし今回も感じてしまう率直な感想としては「あぁ、ほんとうに、少ない支出にしてそれだけ働かないという生活が本当に良い生き方だよなあ…」ということと「うわー野球観戦ってこんなに素晴らしく楽しくて官能的な甘美なものなのか!」ということだ。


ことに野球のシーンは本当に素晴らしい。僕にとって「カンバセイション・ピース」はほぼ野球小説である。この世の中でもっとも素晴らしい野球小説である。(というか、これのほかに野球が出てくる小説のことを知らないが…)…ここには「目に見えないものを観る」「聴こえない声を聴く」「いないはずの存在に呼びかける」それが野球観戦なのだ、という驚くべき事実が描かれている。なんというか、普通に心臓の鼓動が早くなって、居ても立ってもいられなくなるような、素晴らしい高揚感で、スウィート・ナインティーン・ブルーズが、このときだけは最強のアンセムへと変貌しているのだ。曲の質がどうとか、そんな些細な事は問題じゃないのだ。